G20:「ウクライナ」陰の議題 ロシア批判広がらず
毎日新聞 2014年11月16日 22時39分(最終更新 11月16日 23時44分)
【ブリスベーン真野森作】主要20カ国・地域(G20)首脳会議では主に経済問題が議論された一方、不安定化するウクライナ情勢がもう一つの重要テーマとして、ロシアと関係諸国の間で個別に話し合われた。米欧の厳しい批判は織り込み済みで参加したプーチン露大統領は「結果にも雰囲気にも満足している」と強調。米欧側も「ロシアにクギを刺した」と成果を誇った。今回、主張を直接戦わせたことが、今後の情勢安定化につながるか注目される。
雇用創出、環境問題、エボラ出血熱−−。G20の首脳宣言で、「ウクライナ」は一切触れられなかった。中国やインドなど良好な対露関係を維持する新興国が加わる国際会議の場で、ロシアを非難する米欧への同調は一部にとどまった。
プーチン氏は16日の記者会見で「公式会議ではウクライナについて全く触れられなかった」と余裕を見せ、精力的にこなした英仏独などとの個別首脳会談に関して「お互いをよりよく理解できた」と自負した。米露の直接対話は実現しなかった。
紛争が続くウクライナ東部情勢で、ロシアは自国軍の介入を否定し、「善意の第三者」として振る舞い続けている。プーチン氏はウクライナ議会選挙と東部の親露派による独自選挙が相次いで実施されたことを「解決のチャンス」と会見で主張。親露派勢力を正統な交渉相手と認めるべきだとの考えを改めて示唆した。
「これ以上、情勢を不安定にさせるなら制裁はより厳しくなる」。キャメロン英首相とオバマ米大統領はそれぞれの総括記者会見で声をそろえ、ロシアに警告。16日、米欧首脳会合と日米豪首脳会談も開き、対露制裁実施国の結束をアピールした。だが、ロシアとの根比べは当面続くとみられ、キャメロン氏は「米欧諸国の政治的意思とスタミナがテストされている」と語った。