安倍晋三首相が年内の衆院解散・総選挙に踏み切る方針を固めたため、今国会で成立が絶望的になった法案が出てきました。中には、ダンス規制の緩和、派遣法改正など、注目を集めていた法案もあります。
今国会に提出された法案の行方は?
ダンス規制緩和(風俗営業法改正案)
暗い店内で大音量の音楽を流すクラブの営業を朝まで認める法案でした。現在は、最長で午前1時までしか営業できませんが、基準を超える明るさならば原則として朝までの営業が可能になるという内容。クラブの摘発が相次ぎ、全国で署名活動などが起きていました。
風俗営業法のダンス規制撤廃を求め、署名活動する若者たち=2012年5月29日、京都市中京区
派遣法改正案
派遣法改正案は、働き手を3年ごとに代えれば企業が仕事をずっと派遣社員に任せることができるようにすることなどが柱でした。法案に対しては「政府は法改正で正社員が増えると説明するが、正社員が派遣社員に置き換わる」(日本労働弁護団・常任幹事の棗一郎弁護士)などの批判が出ていました。
派遣法改正反対の署名活=2014年10月6日
カジノ解禁法案
カジノ解禁法案は、カジノを中心にホテルや国際会議場、レジャー施設などを備えた統合型リゾートの整備を促すものでした。海外から富裕層を中心に多くの観光客を呼べるとされ、安倍政権が、日本での実現を成長戦略の一つに位置づけていました。
カジノを収益の柱にする統合型リゾート「マリーナ・ベイ・サンズ」=2014年10月10日、シンガポール、都留悦史撮影
女性活躍推進法案
女性活躍推進法案は、女性の登用を進めるための数値目標を設定するよう企業に義務づけるもの。野党からは、女性採用者数や女性管理職の割合といった女性登用に関する項目のうち、どれを選ぶかは企業の自主性に任されていることから、「企業任せ」との批判が出ていました。
衆院本会議で女性活躍推進法案について質問に答える有村治子担当相=2014年10月31日、越田省吾撮影
安倍政権が今国会の目玉に掲げる女性活躍推進法案の国会審議が31日、衆院本会議で始まった。女性の登用を進めるための数値目標を設定するよう企業に義務づけるなどの内容だが、野党は「企業任せだ」「女性の正社員を増やす施策がない」などと指摘した。
五輪・パラリンピック特別措置法案
五輪・パラリンピック特別措置法案は、五輪担当相を単独の閣僚として設置し、交通網の整備や治安対策など、横断的に関係省庁との調整にあたることを目指すものでした。
新国立競技場の完成イメージ
出典: JSC提供
2020年東京五輪・パラリンピックに向け、政府は28日、五輪担当相を専任ポストとすることを新たに付則に盛り込んだ五輪・パラリンピック特別措置法案を決定した。現在開会中の臨時国会で、大臣枠を現在の18人から1人増員する法改正を行う方針。