3D(3次元)プリンターで製造した殺傷能力がある拳銃を所持したとして、大学職員だった居村佳知(よしとも)被告(28)が逮捕された事件。新人記者として横浜総局に配属された6日目に遭遇した、最初の“ヤマ”だった。「オタク」を自称する居村被告の短文投稿サイト「ツイッター」上の言葉がクローズアップされていった中で、取材を通じ、記者自身も自らの「オタク」性に深く向き合い、考えさせられた。「オタクだから犯罪を起こすのか」−。答えは「NO」だ。
神奈川県警が、銃刀法違反(所持)容疑で居村被告を逮捕した5月8日の夜。
「居村被告のツイッター分かる?」
3Dプリンターを扱う家電量販店の取材がうまくいかず、気落ちして帰社したところに、先輩記者から声を掛けられた。
アカウントはすぐに見つかった。そこには、美少女のイラストアイコンに、メイドを愛する思い、独特の口調があふれていた。一目で自らと共通する「オタク」性を感じた。
というのも、記者自身、物心がつく前から息を吸うように漫画を読み、中高生の時には「新世紀エヴァンゲリオン」などに代表される「セカイ系」と呼ばれるアニメに傾倒。大学時代は毎年夏と冬に開催されるコミックマーケットにいた「オタク」だったからだ。
だが、この時点では、自らを含め「オタク」を見つめ直すきっかけになるとは、思いもよらなかった。
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