内閣府が17日発表した2014年7~9月期の実質国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除いた実質の季節調整値で前期比0.4%減、年率換算で1.6%減と2四半期連続のマイナスとなった。QUICKが集計した14日時点の民間予測のレンジ(0.8%増~3.5%増)の下限を大きく下回るマイナス成長となった。消費増税後の反動減からの回復が見込まれていた内需の不振が鮮明になっている。民間設備投資の減少が続いたうえ、天候不順によって個人消費の回復も遅れている。在庫の取り崩しが進んだことも見かけ上の成長率を押し下げた。
生活実感に近い名目成長率は0.8%減、年率で3.0%減となった。安倍晋三首相は今回の結果などを踏まえ、2015年10月からの消費税率10%引き上げの是非を最終判断する。
実質成長率への寄与度で見ると、国内需要が0.5ポイント押し下げた半面、輸出から輸入を差し引いた外需は0.1ポイントの押し上げ要因となった。
内需のうち個人消費は0.4%増と2四半期ぶりプラス。4月の消費増税の駆け込み需要の反動減は薄れつつあるものの、夏場の天候不順や物価上昇などが重荷となった。設備投資は0.2%減と2四半期連続のマイナス。生産回復の遅れによる稼働率の低下が響いた。
住宅投資は6.7%減と2四半期連続で減ったが、減少幅は4~6月期の10.0%減から縮小した。住宅着工数の減少が続いている。公共投資は13年度補正予算や14年度予算の前倒し執行が進み、2.2%増と2四半期連続のプラスとなった。
外需は輸出が1.3%増。スマートフォン向け電子部品などが伸びた。一方、輸入は0.8%増だった。その結果、成長率に対する外需寄与度は2四半期ぶりにプラスとなった。
総合的な物価動向を示すGDPデフレーターは前年同期比でプラス2.1%となり、2四半期連続でプラスだった。国内の物価動向を表す国内需要デフレーターはプラス2.4%と3四半期連続のプラスだった。
実質季節調整系列の金額ベースで見ると522兆8301億円で、13年1~3月期(521兆3016億円)以来の低い水準だった。〔日経QUICKニュース(NQN)〕
GDP、安倍晋三