山本晋
2014年11月17日08時12分
小惑星探査機「はやぶさ2」と1号機の技術が、地上でも生かされるのか。宇宙の強い放射線に耐えるカメラや激しい温度差から機器を守る材料、限られた電力を有効利用する技術の地上での活用を宇宙航空研究開発機構(JAXA)や企業が目指している。
■強い放射線の現場、鮮明に
衝突装置を使って小惑星にクレーターを作り新鮮なサンプルを採取するのは、「はやぶさ2」のミッションの目玉の一つだ。衝突装置の動きやクレーターができる様子を機体から分離した小型カメラがとらえて画像を無線で送信する。小型カメラは宇宙空間の強い放射線の中でも耐えられるよう設計されており、開発を担った明星電気(群馬県伊勢崎市)は原発事故現場のような強い放射線で人が入れない場所の様子をこのカメラの技術を使って確認することができるとしている。
クレーターを作る衝撃から身を守るために、小惑星の陰に隠れる機体の「目」の代わりとなるのが分離カメラだ。アナログとデジタルカメラが内蔵されており、明星電気はデジタルカメラを担当した。強い放射線を浴びると、画像を送信する回路に異常な電流が流れることがある。そのため、同じ回路を複数作って一つの回路が壊れても正しく動くようにした。このほか、放射線に強いレンズを探したり、アンテナや画像センサーを設計したりした。
カメラが自ら撮影し無線で画像を送信する技術は、人やロボットが入れないような場所の様子を把握するのに役立てることができるという。例えばトンネルの崩落事故の現場などを想定している。(山本晋)
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