沖縄知事選:新たな潮流 県内政局で主導権

2014年11月17日 07:17
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 新人の翁長雄志氏が現職の仲井真弘多氏を破り初当選したことで16年間続いた自民・公明による保守中道県政は崩壊した。米軍普天間飛行場名護市辺野古移設反対を政府に求める「建白書」の実現を目指す保守・革新を超えた“建白書勢力”による県政誕生となり、1968年の主席公選から続いてきた保革が対立する構図「68年体制」の流れが変わった。(選挙取材班・銘苅一哲)

 翁長氏を中心に、那覇市議会の保守や社民、社大、共産、生活、県民ネットでまとまった建白書勢力は同日選挙那覇市長選でも勝利し、次期衆院選などの主要選挙へのはずみをつけ、県内政局で主導権を握ることを確実にした。

 安倍晋三首相が消費増税をめぐり12月の解散総選挙に踏み切ることが確実視され、県内政局も衆院選に焦点が移る。衆院選は、建白書勢力が県内政治の新潮流として基盤を固められるかの試金石となりそうだ。

 建白書勢力は17日から、衆院沖縄選挙区で空白区の候補者擁立や政党協力を含めて対応を協議する。ただ、政党の枠組みを超えた団結が強みの建白書勢力にとって、政党選挙となる衆院選の人選は容易ではない。調整がこじれた場合は基盤が瓦解(がかい)しかねない。

 県政を明け渡した自民の痛手は大きく、衆院選に向けた立て直しが迫られている。衆院での現有4議席を死守できるかが、県内政局での存在を保ち得るかの正念場だ。

 沖縄の自民選出の現職4氏は前回2012年の衆院選で普天間の県外移設を公約として当選、その後、辺野古容認に転じた。衆院選でも普天間問題の争点化は避けられず、普天間飛行場の危険性除去のために辺野古容認したという判断で県民の信を問う選挙となる。

 辺野古移設反対の公明県本部は知事選で辺野古埋め立てを承認した現職を推薦せず自主投票とし、県内の自公体制が崩れた。衆院選は国政選挙として従来の「選挙区は自民、比例は公明」の協力を基本に議論が進む見通しだ。だが、知事選同様に普天間問題が争点となる衆院選で、辺野古を容認する自民候補を推薦するかが注目され、政策の整合性が問われそうだ。

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沖縄県知事選挙2014の一覧

普天間飛行場の名護市辺野古移設の是非をめぐり、従来の保守・革新の対立構図から一転した沖縄県知事選挙。現職・新人の計4人が立候補し、基地問題や振興政策を問う。11月16日に投開票される。

候補者プロフィール

下地幹郎(しもじ・みきお)
1961年8月生まれ。宮古島市出身。中央学院大商学部卒。96年、自民公認で衆院初当選。以降、衆院当選4回。2009~10年に国民新党政調会長兼国対委員長、幹事長。12年郵政民営化・防災担当相。政党そうぞう前代表。

喜納昌吉(きな・しょうきち)
1948年6月生まれ。北中城村出身。73年国際大(現沖国大)除籍。76年「喜納昌吉&チャンプルーズ」結成。代表曲に「ハイサイおじさん」など。2004年参院選で初当選し1期。04~11年、13~14年まで民主党県連代表。

翁長雄志(おなが・たけし)
1950年10月生まれ。那覇市出身。75年法政大学法学部卒。85年の那覇市議選で初当選(2期)。92年に県議選で初当選(2期)。2000年の那覇市長選で初当選、4期14年務めた。県市長会長、全国市長会副会長などを歴任した。

仲井真弘多(なかいま・ひろかず)
1939年8月生まれ。那覇市出身。東京大工学部卒。61年通商産業省(現経済産業省)入省。大田昌秀県政で副知事。沖縄電力会長、県商工会議所連合会長などを歴任。2006年に知事選初当選し10年から2期目。

(届け出順)


政策の比較




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[普天間飛行場移設と辺野古埋め立て]

日米両政府が1996年4月、米軍普天間飛行場の全面返還で合意。2006年5月に名護市辺野古のキャンプ・シュワブ沿岸部にV字形の2本の滑走路を建設する現行計画を両政府が合意、07年、政府が環境影響評価手続きを始めた。民主党政権では「県外」で迷走。12年12月の第2次安倍内閣発足後、県関係の自民党国会議員らが県内容認に変わり、13年12月に仲井真弘多知事が辺野古沖の埋め立てを承認した。14年1月、移設に断固反対する稲嶺進名護市長が再選したが、政府は移設計画を進めている。防衛省はブイ設置、海底ボーリング調査の後、埋め立て本体工事に着手する構え。
「普天間・辺野古新基地」まとめページ

[カジノ法案]

カジノを含む統合型リゾート施設(IR)整備を推進する法案。超党派の議員連盟が議員立法で提出した。カジノを含む国際会議場、ホテル、娯楽施設などを一体として整備し、滞在型観光を実現し、地域経済の振興を図るのが目的。法成立後、カジノ解禁に向けた法整備を国に求めている。

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USJもやめるべき。

yls (11月16日 21:11)