昭和天皇実録:謎の遊び「クロックノール」
毎日新聞 2014年09月09日 05時50分(最終更新 09月09日 09時49分)
宮内庁は9日、昭和天皇の87年の生涯を記録した「昭和天皇実録」を公開した。百人一首、木登り、椅子取り−−。実録は昭和天皇の幼少期の遊びを細かく記している。第一次世界大戦下の1917(大正6)年には世相を反映していると思われる「欧洲戦争将棋」などの記述もある。学習院初等科入学前後は「クロックノール」という遊びが少なくとも4回登場するが、どのような遊びなのか、四半世紀かけて実録を作り上げた宮内庁も「分からない」としており、「公開で知っている人が出てくるかもしれない」と謎の解明に期待する。
クロックノールの正体を不明としつつ記載したことについて、宮内庁は「当時大変熱心にされていた遊びだった。その事実を記した」と説明する。弟の秩父宮も同様の遊びをしていたという。
実録には例えば、8歳当時、沼津御用邸の学習院仮教場で3学期の授業が始まった1910(明治43)年1月、「午前は学習院の授業、午後は御用邸内においてジャーマン・ビリヤード、人取り、玉鬼、相撲、クロックノールなど種々のお遊び」との記述がある。
クロックノールについて、学習院大学史料館の長佐古(ながさこ)美奈子学芸員は、ゲートボールの原形とされる「クロッケー」の可能性があると推測する。「昭和天皇がどのように遊びの時間を過ごしていたのかあまり具体的に知られておらず、実録の記述は大変興味深い」と話している。【山田奈緒】