道内
福島第1原発、自然汚染の実態 滝川在住ライター・平田さん新著、生態系への影響 丹念に取材
(11/16 10:50、11/16 10:51 更新)
「非除染地帯」を手にする平田剛士さん。表紙には、列車の往来が途絶え緑に覆われた鉄路の写真を載せた
東京電力福島第1原発事故後、周辺の自然はどうなっているのか―。滝川市在住のルポライター平田剛士(つよし)さん(49)が「非除染地帯―ルポ3・11後の森と川と海」(緑風出版)を出版した。福島第1原発の半径20キロ圏などを回り、人の手が入らなくなった野山や放射能が生態系に与える影響を探った。平田さんは「福島の現状を多くの人に知ってもらいたい」と話す。
2011年3月の原発事故後、福島をテーマにした本は数多く出版されたが、自然環境や生物多様性の変化を追う視点のルポは珍しい。「週刊金曜日」に昨年春から今年春まで掲載した記事に加筆してまとめた。
「見えない放射能の影響を伝えるのがルポライターの仕事だと考えた」と平田さんは言う。福島県南相馬市小高区や楢葉町、川内村などを回り、猟師や漁師などの力を借りながら野生のイノシシやアユなどについて調べた。地元で自然と向き合う人たちにも寄り添い、悲しみや怒りを淡々とした筆致で書き留めた。
その中でも、猟師たちが仕留めた鳥獣の肉を放射能汚染で食べられない現実が歯がゆかった。汚染されたイノシシの分布域が拡大するのを防ぐために捕獲を行っており、猟師の「食べもしない動物を殺すのはつらい」という言葉が耳に残る。
耕作されなくなった田畑は黄色いセイタカアワダチソウに覆い尽くされており、平田さんは「元の農地に戻すのにどれだけの時間がかかるのか、絶望的な気持ちになった」と振り返る。アブラムシの形態異常を突き止めた北大の秋元信一教授にも取材した。
平田さんは広島県出身で、北大大学院中退後、北海タイムス(当時)記者を経てフリーとなり、環境問題やアイヌ民族問題を中心に取材してきた。原発事故から3年8カ月が経過し、原発や福島への社会の関心が薄れていると感じている。
<わたしたちは、この異常事態を異常だと認識する感覚まで鈍磨しかけているのだろうか。だとすれば、何度でも繰り返しそれを研ぎ直す作業が必要だ>。本にそう書いた。これからも福島に通うつもりだ。
「非除染地帯」は四六判168ページで1800円(消費税抜き)。(報道センター 関口裕士)
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