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【マニアック街道】禁断の遊郭「飛田新地」が“外”に開かれた日
かつての遊郭の名残をとどめる大阪・西成区の飛田新地。「おにいちゃん、ええコがおるよ、寄ってって!」。夜のとばりが下りると通りに並んだ各店からは赤やピンクのなまめかしい明かりが漏れ、曳っ子のおばさんたちの声がひっきりなしに響く。ここは言わずと知れた男たちが訪れる夜の街。その“商売”のやり方や街のたたずまいを見ていると、戦前か大正時代にタイムスリップしたかのような感覚になる。そんな異空間・飛田が年に2日間だけ“外”に開かれるときがある。地元の夏祭りが街を舞台に行われるのだ。(高田清彦)
150軒に女性400人…“品定め”しつつ歩く客
外に開かれるというのは、フリーライター、井上理津子さんの話題のノンフィクション「さいごの色街 飛田」(筑摩書房)で使われている表現を借りた(同書では祭りの日を「『外』の者にも開かれている日」としている)。
祭りが行われたのは天神祭と同じ7月24、25日の2日間。同書では、「飛田は『ノー・ピクチャー』の町だ。しかし、この夏まつりの二日間だけは、神輿(みこし)や行列を、背景に町並みを入れて写真を撮ることが許される」とある。
飛田を数年にわたって取材した井上さん。同書によると、この祭りのことを別の本で書いたところ、次の夏祭りは、本で祭りのことを知った人たちが写真を撮りにきて、ギャラリーが明らかに増えていたそうだ。
今年の祭りを見た。まだ日も高い午後。「わっしょい、わっしょい」という威勢のいいかけ声と太鼓の音とともに、子供たちを乗せた神輿の行列が周辺の商店街を練り歩き、飛田新地の大門跡を通って料亭が並ぶ新地の中心街に入った。
昼間だが、営業している店も数軒ある。神輿はその玄関先で止まり、「祝いましょ、打~ちましょ」と子供たちが声をあげる。行列は北の桜木通りから一つ南のメーン通りに回ったところで止まり、休憩に入った。
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