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ゆうすけのぼうけん 作者:aaaaa

めざめ

小学生の頃に戻りたいなぁ・・・
あの頃は何にも考えなくても幸せだったし、俺にも遊んでくれる友達がいた
中学に入って他人を意識し始めたころから何かが駄目になっていった
高校に入るころには「何か」は決定的に駄目になっていた
あの頃の思い出と言えば毎日オナニーをしてたことくらいだ
そういえばポエムみたいなものをノートにせっせと書きこんでいたような
気がするが、それはきっと気のせいだろう
全く無味乾燥とした青春時代である。
暗い・・・暗すぎるだろ俺の青春時代

自宅警備員となってからは毎日を無為に過ごした
毎日ネトゲと時々(ぽえむ)をしながら
精力的に自宅を警備していた
一日3回母親が部屋の前に置いてってくれるエサを糧に
オナニーとネトゲに全精力を費やしていた。

ぱちりと閉じていた目を開ける。
だが今じゃ「自宅警備員であった頃」も昔の話である
カチリと携帯を開ける
液晶の白い灯が暗闇であった部屋をぽうと照らす
周りを見渡してもどの電気製品も生きていない
俺のもう一つの命といってよかったパソコンすら死んでいる
唯一内蔵バッテリーがあった携帯電話だけがこのジェノサイドを
生き延びていた
因みに内蔵されているアドレスは2件(父と母)のみであるが
それは今の状況とは全く関係ないことであった

つと窓があった一角に光を向ける
そこには窓をなしていない窓があった。
窓の向こう側、ていうより窓ガラスを挟んでその裏側に
何かの石材の様なものが張り付いているのだ

昨日までは無かったし、確認はしてないけど多分おとといから
あれが徐々に張り付いてったていうわけでもないだろう。
昨日から今日にかけて俺が寝てる間に何かがあったのだ。
・・・何があったのかは知らないけど

さて、そろそろ動こうか
「んいいいいい!!」
俺はもそりと起き上がると背筋を伸ばしながら奇声を上げた
奇声を挙げながら背骨を伸ばすと気持ちがいい
いつもは家に親が居る為やるとせつない気持ちになるが
今の状況では誰も聞いていない(と思う)事だけは俺は知っているのだ。
多分誰も聞いてない。絶対にだ。
そしてとベッドの下に手を伸ばすと半分くらい何かの液体で埋まったペットボトルを取り出す
そしておもむろにちんこをいれた。
じょろろろろろ

放尿である。
すっきり爽快の気分である。
ペットボトルにふたをして足元に置くと
いつものズボンとチェック柄の長袖シャツを着る
そして靴下をはいて部屋の片隅で眠っていた中学の頃の体育館シューズを身につける
携帯を閉じてポケットに入れる。
「万事おk・・・さて。いくか」
もう一度背骨をぐきりと鳴らすと、
自室のドアに手をかけ開け放つ。
一歩自室から外に出ればそこは未知の空間であった。
広すぎず狭くも無い空間が左右にどこまでも続いている
人が5~6人は横に並んで歩ける幅がある様に思う
そして部屋の正面に淡く緑色に発光する壁があり
上を見上げればこれもまた、どこまでも高く続いている

淡く光る壁
どこまでも続く通路
自室のドアを開けた先にあったのは(たぶん)迷宮であった。
昨日今日で大きな変化である
朝気がついたときはびっくりした
びっくりしすぎて取りあえず2度寝してみたが何も変わらなかった
代わりに少し落ち着いたのでドアの向こう側を少しだけ(20mぐらい)
探索してみたりした。わかったのは道の先が見えないということと
何の気配もしないという事だけだ。
途方もないというのはこの事を云うのだろう
あまりにも非現実的すぎて俺のキャパシティを超えてる
ここまで突拍子もないと逆にわくわくしてくるというものだ。
危機感のない俺はわくわくついでにもう一度外を探索してみようと思っていた。
ことんと通路側のドアの横におしっこボトルを置くと俺はもう一度背筋を伸ばし大音量で奇声を上げた。
「んふぅううううううう!!」
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