アニまるっ!
けいおん!裏のスタッフインタビュー
3日目 - 商品化窓口担当みもぞ〜さん

今回は『けいおん!』の商品化窓口担当みもぞ〜さんです!
みもぞ〜さんと私は、立場や部隊は違うのですが、戦友のような…下っ端同士、どうやってエライ人たちを説得しようかと日々協力し合っていた仲なのです(笑

インタビュアーふじま=ふ 商品化窓口みもぞ〜=み

ふ:それではさっそくみもぞ〜さん、自己紹介をお願いします。

み:こんにちは、みもぞ〜です。
仕事は主に作品の商品化窓口業務というものをしております。具体的には各メーカーさんから『けいおん!』の「商品を作りたい」というお話をいただき、その商品の提案を製作委員会に確認します。
そして、企画やデザイン、色や形状などについて委員会からの返答を元にメーカーさんと調整を繰り返しながら商品を作り上げる、その中継をする仕事をしています。

↑スタッフブログでもご紹介したことがあります。

ふ:『けいおん!』にまつわる、今だから言える大変だったことはありますか?

み:作品側主導イベントの物販商品も作ったりしまして。一番大変だったのは2011年のライブイベント「けいおん!! ライブイベント 〜Come with Me!!〜」の時でしたね。
横浜アリーナで開催された最初の「けいおん! ライブイベント 〜レッツゴー!〜」が大盛況だったことを受け、行きたかったのにチケットが取れなかったという方のために、より大きなさいたまスーパーアリーナで開催されたイベントでした。
前回以上に、物販を期待される方も増えるということで、売り切れて買えなかったというお客様がいないように、ある程度予測を立てながら商品を作ったのですが、その物量が莫大になってしまって…想像を絶する量でした。
物販会場は屋外の駐車場だったので、雨や防犯対策のためにテントを建てたのですが、そのサイズはたしか100平米でしたかね。もう、まるで家みたいでした(笑)。
自分たち主導のイベントでそんな量の商品を作ることが、なかなか無ったのでドキドキしましたよ。品切れにならない、ちょうど良い数量を考えて販売しなくちゃいけない使命というか、そのプレッシャーがすごくありました(笑)。

ふ:そわそわしてましたもんね、イベントの準備期間は(笑)。

み:それとは別に辛かったのは前日の下見の際、寒くて風邪をひいてしまいまして。
夜から熱が出ていたのですが、そのままライブ当日を迎えてふらふらになりながら気力で乗り越えました。
ライブが終わって家に帰ったら起き上がれなくなって、翌日40度以上の熱を出して寝込みましたね。人間の気力ってすごいなあって思いました。

ふ:準備中も「調子悪そうだったな〜」と思っていたのを覚えてます。しかも、そんな中…私はみもぞ〜さんにタイツを買いに行ってもらった記憶も…(笑)。

み:そうそう!ふらふらになっているのに、ふじまさんから「おい、みもぞ〜。タイツねーんだよ、80デニール買ってこいよ!」って言われて。前日の夜に会場近くのスーパーの婦人服売り場でタイツを物色する変な男を目撃した方は、きっとそいつがみもぞ〜です。

ふ:そんな言い方はしてないですよっ!(汗)
う〜ん…寒かったのか転んで穴が開いたのか…何か入用だったんです、たぶん(笑)。

み:あとは映画のイベントですが、USJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)のイベントからの東京記者会見。これもなかなか大変でした。
USJでは、何かアトラクションでも乗って楽しめるかな〜なんて思っていたのですが、まったくそんな時間は無かったです。
地方のイベントで準備時間も取れず、ほぼぶっつけ本番の強行スケジュールでいろいろとハプニングもありましたし。
朝にイベントを行って、それから昼には各取材を終えて東京に戻る飛行機に乗らないと、夜の記者会見に間に合わない。
しかも、その記者会見は例のロンドンバスで登場するという熱い仕込みがありまして(笑)。
みもぞ〜は、飛行機で羽田に戻って、いち早くタクシーで道路の渋滞状況をリアルタイムに連絡し、キャストチームの乗った車を先導した思い出があります。
1分1秒が惜しいスケジュールで、どこにも時間に余裕がなかったので。我々スタッフも大変だったけど、キャストの皆さんも本当に大変でしたよね。
スタッフとキャスト全員が一丸となって一生懸命、頑張れた経験でした。全員が頑張らなくちゃ絶対に実現出来ないイベントだったと思います。

ふ:その当時の、今だから言える、楽しかったことや嬉しかったことはありますか?

み:自分で企画したり、監修した商品が完売御礼だったり、高い評価をもらえたりすることですかね。自分の中で「作りたい!」と思った商品はおおよそ作れたと思います。
おかげさまで『けいおん!』では「こんな商品をやりたい!」という無理な相談も、各メーカーさんに「ぜひ、やりましょう!」と言ってもらえて…。
例えば、痛空母や痛団地を作ることが出来たのは嬉しかったです。ファンの方が本当に欲しかったかどうかは別として…。痛車のプラモデルなどは、すでに発売されていたのですが、新しいジャンルに切り込みたいという気持ちがあったので、メーカーさんに「すいません、痛空母作りたいんですが…。」と直接電話をして「はい?」って(笑)。でも、きちんと説明したら「やりましょう!」とご英断いただきました。

ふ:でも、「けいおん!」の商品化って放送開始前はかなり苦労されていたような…?

み:はい。はじめに原作を読んで、アニメを見ました。自分の中でこれはすごく面白い、ヒットするっていう気持ちがあって、放送前にいろんなメーカーさんに声をかけさせていただきました。
でも、放送前なので営業で使える資料がメインビジュアルしかなくて、結構断られましたね。
『けいおん!』シリーズは当初からネタバレ厳禁でしたからプレゼン出来るものが何もなくて。
やっぱり、みんなで一緒に見て楽しんでほしいっていう気持ちで作っていたと思うので。
仕事上外部と密に接する商品化窓口には、情報を流出させないために教えてもらえないことがたくさんあって…『けいおん!』は身内にも厳しい作品でした(笑)。
そんな中で、商品化として動かなくちゃいけない難しさは、やっぱりありましたね。
でも、きっと共感してもらえるかなっていう気持ちで営業に回りました。
やっぱりメーカーさんは、リスクを負って商品を作る側なのでなかなかシビアですよ。
それでも、数は少ないですが「やりましょう」と言ってくれたメーカーさんはいて、そのメーカーさんとは今でもずっとお付き合いがありますね。

ふ:商品化にあたって、意識した点はありますか?

み:まず、自分が納得できない商品に関しては、OKを出さなかったです。
例えば、フィギュアだと原型のチェックは何回もしたし、アゴの位置や目の彫りをコンマ数ミリずらしてほしいとか、色はこうしてほしいとか何度もやり直しをしてもらって。
製作委員会には「これなら大丈夫だね」と思ってもらえる状態までもっていってから、監修をお願いするようにしていました。
もちろん、1人の主観だと偏っちゃうので、周りにアドバイスをもらいながらです。
ただ、作り手のクリエイティブな部分は尊重したかったので、自分の中の『けいおん!』像とクリエイターの『けいおん!』像のバランスを上手く取りながらやってきたつもりです。

ふ:商品化窓口として第1期と第2期、映画を走りきったことを踏まえて、『けいおん!』はみもぞ〜さんにとって、どのような作品になりましたか?

み:すごく大変な思いをしたけど、初めてのことや自分でやりたいと思ったことはほぼ実現出来ました。すごく良い経験が出来たなと思います。制作スタッフやキャストの皆さんはよく『けいおん!』のことを「自分の子供のように大切な作品」とおっしゃってますよね。生み出す側としては、そういう気持ちがあるんだなと思います。
自分の場合は『けいおん!』は“育ての親”という感じです。『けいおん!』という作品に育てられましたね。
今までもいろんな作品の商品化窓口を担当していたけれど『けいおん!』ほど、商品化の申請がきたことはないし『けいおん!』ほど、自由に商品を作らせてもらったことはなかったので。
最初のみもぞ〜レベルが5だったとしたら、レベル80くらいには成長させてもらった作品かなと思います。

ふ:みもぞ〜は『けいおん!』が育てたって感じですね。

み:はい。育ててもらってありがとうございます(笑)。

ふ:さて、ここまですっかり聞くの忘れていました!
シリーズ通してお気に入りのキャラやシーンを教えていただきたいのですが…。
はい、それではまずお詫びを(笑)。

み:はい。商品化で気を遣った点など、すごくすごく偉そうなことを言いましたけど、ミスもしまして…本当にたくさんミスをしまして…本当に申し訳ございません。
自分の中ではすごく気を付けていたのですが、ストンと抜けてしまっている部分も人間なのでございまして…その点についてはこの場を借りてお詫びさせていただければと思います。
申し訳ございません。今、改めて初心に戻って、本当に反省しています。

↑問題の……。

ふ:では、改めて好きなキャラクターは?

み:あっ、はい、琴吹つみ…紬さんです。ムギちゃんです(汗)。

ふ:ムギちゃんの好きなところやお気に入りのシーンを教えてください。

み:すごく温かさを感じるキャラクターですよね。最初はどの子が好きっていうのはあまりなくて、本編を見ている内に、なんて良い子なんだ!っていう感じでした。合宿の時に別荘に行ったじゃないですか。お金持ちだったので「この子だったら逆玉の輿に乗れるんじゃないか?」と思っていた時期もありましたが(笑)。
空気を読んでいるような読んでいないような、おっとりマイペースで場を和ましてくれて本当に可愛くて。一生懸命でなんでも全力で取り組む、素直でまっすぐなところが好きです。
好きなシーンはいっぱいあるのですが、一番可愛いなと思ったのは、軽音部でホームセンターに行ったときに(第2期2話)蛇口をピカピカに磨けるスポンジを買って、一生懸命、部室の蛇口を磨いている姿をみて、なんて可愛いんだろうと思いました。
他にも『映画けいおん!』で空港の動く歩道で芸能人ごっこをしている時の、ちょっとムスっとした眉毛の形ですね。ムギちゃんの眉毛はたくあん型で上の方が丸みを帯びてるのですが、ちょっと頑張る時や怒った時にきゅっとつり上がる、その眉毛の形が可愛くて大好きです。

ふ:『けいおん!』ファンのみなさまへメッセージをお願いします。

み:テレビ放送開始から5年間、本当に長い間、応援ありがとうございます。
今年、2014年は5周年の年ということでいろいろと新しい商品の企画も用意しています。すでに発表になっているバンプレストさんの一番くじやプライズ、LINEスタンプの配信などもありますが、まだまだ今後も、みなさんに楽しんでもらえるような企画をお伝えできたらいいなと思っております。もちろん仕込み中ですよ!

ふ:この『アニまるっ!』でもいろいろと企画が進んでますもんね!

み:はい。放送局がお届けするECサイトとして作品に対する気持ちや理解度は他には負けないと自負しております。アニメファンの方々に喜んでもらえるようなサイトになる予定ですので、ぜひ今後もみなさんチェックしてください。

ふ:それでは最後に…せーの!

み:ムギちゃん大好きーーー!!(笑)

ふ:ありがとうございましたっ!

それではまた明日っ(*´ω`*)ノシ