Apple Payがアメリカで利用できるようになり約1か月で、モバイル決済市場全体が活性化しています。アップルのブランド力と使いやすさで受け入れられているApple Payは、モバイル決済市場の起爆剤になりそうだと米ウォール・ストリート・ジャーナルが報じています。
米マクドナルドのモバイル決済の半分はApple Pay
アメリカの人気オーガニック食品スーパー、Whole Foodsでは、Apple Payのサービス開始2週間余りで、決済額の約1%にあたる600万ドル(約6億9,000万円)を売り上げるなど、好調なスタートを見せています。
Apple Payの好スタートは、Googleの「Googleウォレット」など、スマートフォンを使ったモバイル決済の認知拡大と市場活性化につながると期待されています。
アメリカ全土に14,000店舗を展開するマクドナルドでは、スマートフォンによる決済の50%がApple Payによるものです。大手ドラッグストアチェーンのWalgreensでは、Apple Payのサービス開始以来、モバイル決済が2倍に急増しています。
サービスが開始されたばかりのApple Payは、決済市場全体では主流とは言えませんが、小売業界の注目を集めています。
Apple Payの好調はアップルのブランド力と使いやすさ
Forrester ResearchのアナリストDenée Carrington氏は、Apple Payの好調は「アップルのブランド力の強さと、お店にもお客にも評価される使いやすさ」があると分析しています。Apple Payの使いやすさについては、ロサンゼルス在住の当サイトライター、lunatic氏がレポートしています。
Carrington氏は「モバイル決済の世界が一気に変わることはないと思う。しかしこの現象は、従来のモバイル決済サービスでは起こらなかったことだ」と、Apple Pay登場のインパクトを語っています。
全米に870店舗を展開するトイザらスでは、Apple Payのサービス開始後、モバイル決済の利用が増加したとは言えまだまだ利用数は少なく、モバイル決済という新しい技術が消費者への浸透過程にあるためと考えられます。
ガートナーの推計では、全世界でモバイル決済により支払われた金額は、2013年に約2,354億ドル(約27兆3,700億円)で、2012年の1,631億ドル(約17兆3,300億円)から急激な伸びを示しています。Apple Payの登場で、この数字がどこまで伸びるか、注目されます。
Apple Payは数年かけてじわじわと本格普及?
Jackdaw Researchの通信業界アナリストJan Dawson氏は、「Apple Payは現時点で最新モデルのiPhone6/6 Plusでしか利用できず、小売業界でもモバイル決済への対応が進んでいないため、Apple Payが主流になるには数年を要する」と分析しています。
同氏は「Apple Payはじわじわと成功する。消費者は目新しさからApple Payを一度使い、その後はちょくちょく使うようになる。これは大きな前進だ」と、Apple Payの普及プロセスを予測しています。
Apple Payはモバイル決済市場の起爆剤となるか
Apple Payは、アメリカで早くも消費者の関心を集め、利用を伸ばしているようです。今後、Apple Payが起爆剤となりモバイル決済市場全体の拡大につながる可能性は高いと考えられます。
Apple Pay経由での支払い時に発生するクレジットカード会社への手数料を嫌ったウォルマートなどがApple Payへの非対応を表明しています。しかし、今後の動向次第ではApple Payを無視できなくなる可能性も考えられます。
さらに、来年の発売が予定されているApple Watchにより、Apple Payが注目を集めると見られます。
日本でのサービス開始時期は不明も、動向に注目!
Apple Payは現在、アメリカでしか利用できず、日本でのサービス開始時期については情報がありません。日本で普及した「おサイフケータイ」と通信方式が異なる等の事情により、日本でApple Pay利用できるようになるのは先かもしれません。
「おサイフケータイ」でモバイル決済に慣れたiPhoneユーザーの多い日本で、Apple Payはどのように受け入れられるでしょうか。
参照元:The New York Times
執 筆:hato