【侍ジャパン】坂本、ショーゲキ弾「初球から思い切って」
◆日米野球第3戦 日本代表4―0全米(15日・東京ドーム)
侍ジャパンが4投手の継投で無安打無得点を達成、日本プロ野球80周年を飾る金字塔を打ち立てた。日米野球で日本代表がノーヒットノーランを記録するのは史上初の快挙だ。先発・則本(楽天)が5回6奪三振で走者を一人も許さず。救援した西(オリックス)―牧田(西武)―西野(ロッテ)も安打を許さなかった。打撃陣も2回に坂本(巨人)、3回には4番の中田(日本ハム)が一発を披露。無傷の3連勝で、1990年以来、24年ぶりに日米野球勝ち越しを決めた。
高い放物線だった。きれいなバックスピンのかかった坂本の打球は、左翼スタンド目指しぐんぐんと伸びた。「初球から思い切って振り抜くことができた。いい角度で打てました」
両軍無得点の2回1死二塁。ガスリーの高めのカットボールを狙いすました。今大会1号の先制2ラン。日本代表(全日本含む)とMLBとの試合で巨人選手が一発を放つのは、2000年の松井秀喜以来14年ぶり、8人目の快挙だった。
試合前に新発見があった。連日、指導を受ける稲葉打撃コーチから「練習からボールにきれいな回転をかけて打つことをイメージしてみれば」と助言された。フリー打撃から一球一球、インパクトの瞬間まで細心の注意を払う。「バッティング練習への意識。今まではあんまり考えたことはなかった」という。2000安打を達成した天才打者の金言をすぐさま結果に結びつけた。
今回の日米野球については「自分が引っ張っていくんだという強い気持ちを持って臨みたい」と宣言。侍ジャパンの若手のリーダーに名乗りを上げたのには、理由があった。
ソフトバンクと阪神の日本シリーズを全5試合、テレビ観戦。「若い選手がイキイキとプレーしていた。特に短期決戦では若手の勢いというのは大事だと思った」。柳田、今宮ら若手の活躍が日本一になったホークスの強さの理由だと感じ取った。17年WBCへ、自分が若侍を束ねていくつもりだ。
ノーヒットの中での守備に「何とか内野安打は出さないようにと思っていた。先発の則本はさすがだなという投球」。試合後の取材中、通りかかったガスリーから「ナイスホームラン!」と声をかけられた。坂本は「サンキュー」と白い歯を見せた。(中村 大悟)