甲斐俊作
2014年11月16日11時26分
「天空の城」として人気がある兵庫県朝来(あさご)市の国史跡「竹田城跡」で、朝来市が国に無許可で登山道の拡幅や付け替え工事を進めていたことがわかった。県教委は文化財保護法に違反しているとして工事の中止を指示。市は国や県と協議して原状回復する方針だ。
無許可工事は、山頂の竹田城跡に向かう史跡域内の「大手道(おおてみち)」(約700メートル)の一部で進められていた。近年のブームで観光客が増えたため、登山道の拡幅・付け替え工事を計画。城跡に近い延長32メートルで、9月から拡幅や石段の撤去、新たな石垣の設置をしていた。
しかし、文化財保護法で指定された国史跡には形状変更に厳しい規制があり、国の許可が必要。10月27日に城跡の調査に訪れた市教委幹部と市文化財保護審議会委員が偶然現場を見かけて、工事が発覚した。
朝来市は4月、市教委が担当していた竹田城跡の史跡保護の業務を、観光振興を担う竹田城課に一本化。今回の工事は市教委に知らされていなかったという。竹田城課の黒田隆雄課長は「軽微な行為と判断し、市教委と協議しなかった」と釈明。文化財保護法では「軽微な変更」に限っては自治体の裁量で許されるが、「樹木の枝を切る程度」(市教委)という。
県教委の山下史朗・文化財課副課長は「一見して史跡を破壊している問題工事。勝手に進めれば、文化財の本質的価値を損ないかねない」と話している。(甲斐俊作)
おすすめコンテンツ
※Twitterのサービスが混み合っている時など、ツイートが表示されない場合もあります。
朝日新聞デジタルをフォローする
PR比べてお得!