動画投稿サイト「FC2」の関連企業が、警察の摘発を受けてから1か月半が経過した。その余波が、同サイトを“仕事場”にしていた女性たちに及んでいる。AVやドラマ、映画が無断投稿されているだけでなく、公然わいせつに絡む動画も多数あり、犯罪の温床にもなっているともいわれた同サイト。周辺で起きている大きな変化とはいったい――。
京都府警など5府県警が、FC2の実質的な運営母体とみられる企業などを家宅捜索したのは9月30日。エロ動画投稿の無法地帯となっていたFC2に警察の手が初めて入った。
他にもエロ動画投稿サイトはあるが、FC2は最大手であるため、見せしめの意味が強いとみられている。
12日、奈良地裁葛城支部は、女子高校生とのわいせつ行為を撮影した動画をインターネット上の動画投稿サイトで公開したとして、児童買春・ポルノ禁止法違反などの罪に問われた奈良県葛城市の元市議で塾経営者の吉武昭博被告(28)に懲役2年6月、執行猶予4年(求刑懲役2年6月)の有罪判決を言い渡した。
同被告は1月と4月、4回にわたり、当時18歳未満だった女子高校生2人とのわいせつ行為を撮影した動画4点をネット上に公開した。裁判長は同被告が動画公開で1200万円以上の利益を得ていたと指摘した。
FC2はこれほど周辺ビジネスを生んだ。だが、警察の捜査着手で困惑しているのが、FC2などのライブチャットサービス提供サイトを利用する「チャットレディー(CL)」たち。「稼ぎ先が減ってしまう」と心配しているのだ。
CLはサイトの生配信などを使って、男性客とやりとりし、稼ぐ女性のこと。“健全に”お話をするだけのこともあるが、稼ぐためにエロ要素を使うことが多い。
風俗事情通は「当局は今後もFC2の捜査に本腰を入れていくようで、サイトをチェックしている。しかし、アダルトチャットは無修整が基本。じゃなきゃ稼げない。でも今、無修整をやるのは危なすぎる。今はみんなFC2の利用をやめている状態です」と語る。
そこでCLたちはFC2を離れ、同様の他サイトに流れている。その多くは事務所に所属。事務所が仕事の環境を整え、女性と稼ぎを折半する。チャットとは、ウェブカメラさえあれば誰でも簡単にスタートできる仕事だが、事務所に所属するのは理由がある。
Gカップの巨乳で人気のCL・真美(22=仮名)は「実家暮らしの子は事務所に所属して、事務所でチャットするしかない。私は一人暮らしだけど、機械に弱いから」と明かす。
あるサイトでは、利用客が1分につき150円払う。運営側に入る80円を引いた残りのうち、40円が事務所、30円が女性の収入だ。かなりのピンハネのようだが、真美は「だって、稼げるオナニーの見せ方とかも事務員の女性が丁寧に教えてくれる」と言う。事務所には女性が30人在籍。真美は週5日の勤務だ。「昼は5時間待機で3000円。夜は2時間だけで1万円いくよ」。男を喜ばせるための研究も欠かさない。事務所内では“エロいオナニーの見せ方”を女性同士で「あーでもないこーでもない」と言いながら、互いに研さんし合っているという。
こうした仕事も暴走すれば犯罪になりかねないが、合法の範ちゅうならば、これも女性の仕事のうち。地方在住の女性の秘密の収入源となっているともいわれる。巨大化したFC2の功罪ともいえそうだ。
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