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世界を舞う中華ドローン ゆりかごはスマホ工場

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2014/11/13付
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 「不可能だった映像の撮影を可能にする」。9月中旬に独ケルンで開かれた世界最大規模のカメラの見本市「フォトキナ」。創業から10年に満たない中国企業、深圳市大疆創新科技(DJI)が世界の注目を集めた。カメラメーカーではない。実はドローンメーカーで、カメラを搭載した機種を30台以上もずらりと並べたからだ。

■「筋斗雲」が飛び、「悟空」が踊る

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 「安定性は抜群だ」。展示ブースの一角では4枚の羽を持ったドローン「ファントム2」が飛び回り、技術者がドローンをたたいても、自動的に水平を保つ。最大飛行時間は25分間で、リモコンのカバー範囲を超えても自動的に戻ってくる仕組みだ。

 「ファントム」に加え、羽の数を8枚や10枚に増やして浮上力を高めた「筋斗雲」、飛行を安定させるコントロールシステム「悟空」などを抱える。米電気自動車テスラ・モーターズの宣伝映像をチベットで撮影するなど企業向けやスポーツ、芸術イベントで幅広く使われている。

 DJIは、1980年に浙江省で生まれた汪滔氏が香港科技大学で学びながら2006年に設立。社名は座右の銘の「大志無疆(大志には限りがない)」から取った。軍事用を除くドローン市場で世界シェアの7割を占めるとしており、14年の売上高は前年比3倍強の25億元(約450億円)以上を見込む。

 DJIだけではない。7月に開かれた北京のドローン展示会には60社が参加、70機種が展示された。中国のパイロットらで構成される組織によると、すでに部品メーカーなどを含め400社近くがドローン市場に参入し、雇用は1万人以上。「日本市場よりも大きい」(国内部品メーカー幹部)

 なぜ中国でドローン市場が立ち上がったのか。「世界のスマートフォン(スマホ)の主要な製造拠点だからだ」と中国の電子部品大手の技術系幹部は分析する。スマホとドローンでは全地球測位システム(GPS)や様々なセンサー、高性能バッテリーなどを搭載していることが共通で、「多くの企業がスマホの次はドローンに焦点を定めて新規参入している」(同幹部)。

 そのため、米アップルのスマホ「iPhone(アイフォーン)」などの製造拠点である広東省深圳市はドローンの集積地に生まれ変わりつつある。DJI以外での注目株は、1999年に設立した深圳一電航空技術(AEE)。ドローンを使った捜査などに力を入れる中国公安省との提携をテコに公共向け製品で伸びている。深圳市の許勤市長は9月に同社を視察し、深圳市のドローン産業の成長を支援する姿勢を示した。

 「新興勢力の深圳に負けるな」。航空機産業の集積地もドローンの育成に乗り出した。その一角が欧州航空機大手エアバスが拠点を持つ天津市だ。中国の航空機産業の歴史で天津は「新参者」だが、地元政府が2006年にエアバスの組み立て工場の誘致に成功したことで成長し、部品や素材分野に産業の裾野が広がっている。

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スマホ、DJI、テスラ・モーターズ、ファントム

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