自宅近隣で行われている「フェロニッケルスラグ」を使った土地造成の埋め立て作業により、発生する粉塵で咳が止まらず、隣接する沈殿池でも基準値を越える有害物質が検出されているので、何とかして欲しいとブログやツイッターで発信し続けていますが
関係業者と日向市関係部署、宮崎県知事及び県議や市議にお願いしても、まともな話し合いにならず、最近になり関係業者から「名誉毀損」「ブログとツイッターを削除するように」「お金を払え」と訴えられてしまいました。
ツイッターをやっている人なら、知っている人も多いと思いますが、この問題を発信し続けた黒木睦子さんのフォロワーが当初の約200人から、現在はおよそ13,000人に急増している事から、問題があると認識した人が多い事がわかります。
黒木睦子さんのツイッター⇒https://twitter.com/mutsukuroki
ブログ ⇒http://blogjima.blog.fc2.com/
スラップ訴訟?とも受け取れる状況になってしまいましたが
まず、黒木睦子さんが何を訴えたいのかと言う事を知る為に
黒木睦子さんが提出した「直訴状」を見ておく必要があります。
⇒黒木睦子さんの直訴状
黒木睦子さんは、目の前に積まれていくゴミの山は産業廃棄物で、粉塵により健康に害があるので、使用されるフェロニッケルスラグの安全性を証明し、健康被害が出たら全責任を取って下さい。これらの納得の行く説明をして下さい。と直訴している訳ですが
関係者は、埋め立てに使用しているフェロニッケルスラグは、株式会社日向製錬所の「グリーンサンド」という商品で、産業廃棄物ではないとし、製品の安全性は確認されているので問題ないという見解で
ここで話が噛み合わず、膠着状態を招いている様子ですが
実際どうなんでしょうか。
これまでの経過や詳細は、黒木睦子さんのツイッターやブログを見てもらうとして
登場する関係者は以下の様になります。
◎黒木睦子さん:健康被害を訴える現場近隣の主婦。
◎(株)日向製錬所:フェロニッケルスラグの製造元。
◎(有)サンアイ:フェロニッケルスラグを現場へ運搬している。
(株)日向製錬所は、フェロニッケルスラグを(有)サンアイに売っていると住民説明会では説明したが、(有)サンアイは買っていないと話し、相違があると黒木睦子さんは指摘。
問題となっている埋立現場の地権者と工事の施主は、鈴木富士男(日向市議会議員)で、黒木さんの直訴状も鈴木富士男市議宛になっています。
問題となっているフェロニッケルスラグは、(株)日向製錬所が製造している「グリーンサンド」という商品ですが、ここでは必要がなければフェロニッケルスラグという書き方で書いていきます。
⇒フェロニッケルスラグとグリーンサンド
フェロニッケルスラグについて
そもそも、スラグとは何なのか?
という事ですが、スラグとは鉄や非鉄金属の精錬時に発生した
例えればクズ。
これをリサイクルの観点から、砂や砕石の代わりに使いましょうという
事になっていて
フェロニッケルスラグは「非鉄金属スラグ」に分類され
「鉄鋼スラグ」ではない様です。
そして、フェロニッケルスラグの用途について上記リンクを見ると
- MgO、SiO2を利用した鉄鋼・合金鉄製造の溶剤、肥料
- ケーソン中詰め材などの港湾土木用材
- 地盤改良用材
- 路盤用アスファルト細骨材
- コンクリート細骨材
と書かれていて
骨材と書かれている様に、ある製品を作る時に
何かと混ぜて使用したり、ケーソン中詰め材、消波ブロックなど
コンクリートで密閉された中に使用すると言った所が一般的な様で
黒木さんがJIS規格の製品なのか?と疑問を抱き
JIS規格品ではないと国から回答を引き出していますが
JIS規格に認定されているのは骨材として使用する場合のみなので
3.に地盤改良材とありますが、JIS規格品では無いと言うのはこう言った理由によるものだと思います。
⇒国土交通省 港湾・空港等リサイクル技術指針(非鉄金属スラグ)
また、路盤材として同種の製品を扱う大平洋金属(株)が
東日本大震災時に、気仙沼市で仮設道路に使用した例を報告していますが
あくまで、震災により発生したコンクリートがらと
混合・粉砕し使用しているので、フェロニッケルスラグ単独使用ではない様です。
⇒コンクリートがらとフェロニッケルスラグの混合による再資源化
安全性はどうなのか?
安全性については、もちろん基準値があり
日向製錬所でも商品化時は当然基準値が守られているはずですが
納得出来ない黒木さんは、県工業技術センターに
フェロニッケルスラグを持ち込み検査を実施。
県工業技術センターの検査では問題ないとの結果の様ですが
黒木さん:「問題ないなら、問題無いと一筆書いて欲しい」
県工業技術センター:「書けません」
黒木さん:「なぜ?」
県工業技術センター:「書く必要がないから」
しかし、黒木睦子さんの依頼により宮崎県環境科学協会が実施した
隣接する沈殿池(下の写真)の水質検査では
環境基準値を越えた物質が、検出され
「危険だ」「すぐこのデータを持って行って」と言われています。
この検査結果を、黒木さんは宮崎県循環社会推進課に提出していますが、その後この有害物質が検出された沈殿池に鉄柵の設置作業が始まり、作業中の作業員に黒木さんは身元を尋ねるが、(有)サンアイとは関係ないとの返事。
しかし黒木さんの調査の結果、設置作業をしていたのは(有)サンアイの社員だった事が書かれています。
そして有害物質が検出された沈殿池で、宮崎県立ち会いのもと日向市により行われた水質検査では「問題なし」との結果。
この時、黒木睦子さんは水質検査(水の採取)時に立ち会うよう、日向市から求められていますが
⇒日向市役所からの立会依頼書
たまたま宮崎新聞社の取材があり沈殿池に行って見ると、黒木さんによる水質調査時は異臭を放ち底も見えないほど黒く濁っていた水が、底の土が見えるほど透明になっており、「水を入れ替え土を入れたな」と見た黒木さんは
日向市役所に説明を求めたますが、「施工している(有)サンアイに聞いてみては?」と言われ、(有)サンアイの当時の社長佐藤氏に問い合わせると「やってない!」と怒りを露わにされ
それでも立会を求める日向市役所に、立会を求める理由を聞くと
日向市環境整備課の
「黒木さんからみてもらって、間違いなく検査しましたよ、という感じですね」
という返事に
黒木さんは
「はっきりとした説明も出来ない、そんな状態で立ち会うことは出来ません。県も日向保健所も立ち会うなら、行政側で責任もって検査すればいいと思います。意味も分からないまま納得しないまま、私たちがあなた達の検査に立ち会って、「ほら、くろきさんも立ち会ったでしょ、」と、言われたら何も言えません。わたしたちは検査は終えてます。二度も三度もしません。」
と立会を断っています。
つまり、黒木睦子さんが水質調査を行った時と明らかに違う水質に変化していた沈殿池で、日向市による水質調査が行われ、その結果「無害」という結果になっていると言う事です。
しかし、この沈殿池から水が流れ出る川の下流では
明らかに濁っています。
運搬されているグリーンサンドは商品なのか?
グリーンサンドは「商品」だとする宮崎県に対し
黒木さんは「産業廃棄物だ」としていますが
ここはどうなのでしょうか。
まずは、産業廃棄物の定義として
「取引価値の有無」があり
製品としての売買がなければ廃棄物となり
「非鉄金属スラグ」(フェロニッケルスラグ)の場合は
廃棄物処理法が適用され産業廃棄物に区分されます。
⇒国土交通省 リサイクル材料を利用する際の法令上の留意事項
では、今回の場合はどうなるのでしょうか。
◎(製造元)日向製錬所→サンアイに売った。
◎(運搬業者)サンアイ→日向製錬所から買っていない。
運搬費は貰った。
◎(地権者)鈴木市議→サンアイにお金は払っていない。
この話だけを見ると、明らかに商品としての売買はなく
(有)サンアイは運搬費として、(株)日向製錬所から代金を貰っているので(株)日向製錬所は、処分の依頼を(有)サンアイにしたと考えるのが普通だ。
と言うことは、鈴木市議の土地が正規な産廃処理場であれば
何も問題ないのでしょうが
現実は造成工事が行われ、その埋め戻し資材として
フェロニッケルスラグが使われている状況。
しかし、(有)サンアイは買っていないと言っているので
ここで製品ではなくなり、この時点でゴミ、クズ、安全性に関係なく
産業廃棄物になると思われます。
例えば、大きな会社の事務所についている業務用エアコンも
壊れていなくても最新の省エネ機種に交換し
外したエアコンはまだ使えるが処分となれば、産業廃棄物となります。
産業廃棄物と言う事は、その辺りに捨てると言うことは出来ず
廃棄物処理法上、適正な処分をしなければならないので(株)日向製錬所は(有)サンアイに、処分を依頼している事になります。
であれば、(株)日向製錬所は黒木睦子さんを訴えるのではなく
(有)サンアイに適正に処分して下さいと訴えるべきの話で
商品として売ったのなら、なぜ(有)サンアイは運搬費としての取引しか無いと言っているのでしょうか。
営利企業である(株)日向製錬所が、製品を無償で提供すると言うパターンはちょっと考えられません。
一方、(有)サンアイも営利企業ですから無償で
フェロニッケルスラグを運搬、埋立すると言った事は
考えられないので
(株)日向製錬所から運搬費のみ貰ったという話も納得できます。
ですので、(株)日向製錬所がフェロニッケルスラグを
製品として搬出させているのか、産業廃棄物として搬出させているのかが、まずは大事な話になって来ると感じています。
この件に関しての、請負関係をハッキリ把握していないので
そこには触れませんが、全体を見るとお金が動いているのは
(株)日向製錬所から(有)サンアイに支払われたと思われる運搬費のみです。
しかし、一連の関係者が損をしてまで造成・埋立てをするのか?
という観点から見ると
◎(株)日向製錬所はいずれはするスラグの処分で損は無し。
◎(有)サンアイは、仕事になるので損はなし。
では、地権者である日向市議会議員の鈴木富士男氏は?
無償もしくは埋め戻し土として
無償でフェロニッケルスラグが使用されているので
格安で埋立・造成されたと思われる自分の土地に
市の予算¥4,000万を当て込んで宅老所を建て
自分の息子さんを施設長にした後に、施設も息子さんに譲ろうと
計画していた様で、安く造成出来たので損はありません。
(市の予算~についてはひとまずおいておきます)
⇒市の予算4000万をあてにした日向市議会議員 鈴木富士男氏
宮崎県や日向市が、頑なに拒んでいるのは
これを認めると、これまで行った同様の事業を
全て見なおさなければならないからでしょう。
この様な不自然な関係者の言動の中におかれた状況で
相手側より公表して良いと言われ
ブログやツイッターで発信し続けた黒木睦子さんですが
公表して良いとしていた(株)日向製錬所と(有)サンアイから
名誉毀損、ブログとツイッターを削除せよと訴えられた訳ですが
そんな事なら、警察のサイバー犯罪課に削除要請を申請出来るし
黒木睦子さんのブログは、fc2の無料ブログ。
fc2に削除を申請すれば済むのではと思いますが
いきなり裁判。
訴えでた(株)日向製錬所は、住友金属鉱山(株)の
国内グループ会社の内のひとつ。
大企業として考えれば、逆効果の気もし
スラップ訴訟(恫喝訴訟)だと言われてもしょうがないと言うか
スラップ訴訟の様相を呈しています。
11月14日(金)午前10時
宮崎地方裁判所 延岡支部 2号法廷
原告:(株)日向製錬所
被告:黒木睦子さん
11月18日(火)が
原告:(有)サンアイ
被告:黒木睦子さん
費用の関係で、黒木さんは弁護士無しで裁判に向かうとの事ですが
提出書類等、わからない事は裁判所に聞けば教えてくれますが
証拠だけは自分で用意しなければならないので
大変かと思いますが、今は証拠揃えに頑張って欲しいところです。
そしてここに来てツイッターで興味ある情報が寄せられていました。
⇒八ッ場ダム:移転先のスラグ 国際基準で「最も危険」
八ッ場ダムの移転代替地に国際基準で最も危険とされる「鉄鋼スラグ」が使用されていた問題で、国土交通省が調査に入り専門家が、表層に出ている物は直ちに撤去が必要だと指摘しています。
鉄鋼スラグと、非鉄金属スラグの違いはありますが国の直轄する工事でも、こう言った事は起こりえる様です。
さて、気になる裁判の方ですが黒木さんの心情としてはフェロニッケルスラグ(グリーンサンド)の有害性を主張したい所でしょうけど、それはそれとして、沈殿池から有害物質が検出された証拠を持っているのですから
裁判で主張するのは
『フェロニッケルスラグ(グリーンサンド)を使用し埋め立てた土壌の浸透水から、環境基準を上回る有害物質が検出されたので、主張し続けており証拠もある。今回の争いを原告は公表して良いと言ったので、ブログやツイッターで主張したのであり、原告の申し立てた名誉毀損は該当せず、当方に賠償責任も無い。』
今回の裁判に勝つ為には、まずこれをメインにしその次にグリーンサンドの安全性を確認して行く事ではないでしょうか。
ついでに
『原告は公表して良いとしたのに、事前に通告や要求もなく、ブログとツイッターを削除しろと主張しているが、私は何度も原告側を訪問しており、話し合いや削除要求をする機会は何度もあったはずである。にも関わらず企業である原告は、事前通告や要求もなく、いきなり一個人(被告)を訴えた。これは恫喝訴訟ではないのか。』
訴状を見ていないので、原告が何を訴えているのかが正確にはわかりませんが、相手の訴えている事に答えて行かないと、いくら良い事を反論しても筋違いであれば効果がありません。
また、いかにして裁判官に全文読んでもらい、これはおかしいなと感じてもらえる様にするかも重要です。
色々と言いたい気持ちもわかりませけどね。