藤原学思
2014年11月16日09時23分
「日本一おいしい学校給食」を目標に掲げる東京都足立区が全国から注目を浴びている。この7年間、区が様々な取り組みをした結果、食べ残しが減ったからだ。
10月末、足立区立西新井第一小学校(西新井6丁目)のランチルーム。6年2組の生徒31人が六つのテーブルに分かれ、給食の時間が始まった。
この日のメニューは、野菜やきのこのスープスパゲティとツナサラダ。ハロウィーンにちなみ、かぼちゃパイも。
「いただきます」。すぐに8人が席を立ち、食べられる分に量を減らした。余ったパイをめぐり、7人がじゃんけんになった。勝った丸山武蔵君は「5年半で残したことはほとんどない」。
15分ほどすると、おかわりのために続々と教室前方の配膳の場所へ。かぼちゃパイ、スパゲティに続き、サラダも空になった。
同校の今年度の「残菜率」は2%程度。区独自の基準で算出した食べ残しの割合で、2009年度の11%から大幅に減った。栄養士の高山玲子さん(62)は「食べ残しがなくなるように献立を工夫するようになった。子どもから感謝の声をかけられることも多くなり、手応えがある」。
「食べ残しゼロ」を公約に掲げて07年6月に就任した近藤弥生区長が、「給食を生きた教材として、心と体を豊かにする」として始めた。08年1月に有識者や給食担当者らによる「おいしい給食推進委員会」をつくり、①味②食材③献立④環境――を柱に様々な事業に取り組む。
たとえば09年度からの「おいしい給食メニューコンクール」。児童・生徒からメニューを募り、給食に親しみ、食べる意欲を高めるのが目的だ。
先月末、過去最多の計4920点から区長賞に選ばれたのは長門小4年の山口華さんが考えた「畑のかばやき丼」。大豆やおからを使った。「給食がすごくおいしいので、負けないようなメニューを考えた」
区内には小学校70校、中学校37校があり、約4万5千人の児童・生徒が通う。残菜率の平均は08~13年度、小学校は7%から3・7%に、中学校は13%から7・8%に減った。食べ残しの量は小中合わせて341トンから186トンに減った。
今年2月からは月ごとに「野菜の日」を設けた。11月はレンコン、12月はブロッコリーと、旬の野菜を使った献立を出し、作り方を給食便りで各家庭に伝える。
近藤区長は「子どもたちの味覚も着実に育ってきていると思う。給食で一生を通じた健康な体、精神の基礎を養ってもらいたい」と話す。
区ホームページに各校の給食のレシピが紹介されている。
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