大阪城公園:来年度から管理運営民間 大阪市はタダで収入
毎日新聞 2014年11月15日 15時00分(最終更新 11月15日 15時07分)
大阪市の大阪城公園(中央区)と天王寺公園の一部(天王寺区)の管理運営が来年度から民間に任される。いずれも委託期間は20年間だが、市から支払う委託金や税金の投入はゼロ。民間の力で行政財産を活用して魅力を高める狙いだ。大阪を代表する二大公園が新たなにぎわいを生むのか、民間委託の試金石になりそうだ。
城や公園の管理運営の民間委託は2003年の地方自治法改正に伴い指定管理者の基準が緩和され、全国で広がった。高松城(高松市)や浜松城(浜松市)なども地元企業などに管理運営を委託しているが、代行料として、自治体が委託料を管理者に支払うのが一般的。大阪城公園の場合は、委託料は支払わず、逆に収益に応じて市への納付を増やす「全国的にも珍しいケース」(市の担当者)という。
理由は大阪城が有数の観光地であり、十分な収益が見込めるからだ。現在は市の外郭団体「大阪市博物館協会」が天守閣を管理運営している。天守閣への来場者は外国人観光客の増加を反映し、08年度の約129万人から13年度は約155万人へと増加。12年度は約8億9000万円の入場料などの収入があり、大阪市に納付金約1億4000万円を支払っても、約9000万円の利益を上げた。橋下徹市長も「市税を投入しなくても収入を生む仕組み。発想の大転換だ」と目を付けた。
公募で選ばれた電通関西支社など5社のグループが来年4月から天守閣など大阪城公園一帯の管理運営を担う(大阪城ホールなど一部施設を除く)。固定納付金として年2億2600万円を市に納めるのが基本で、さらに収益の7%を支払う仕組み。現状では2000万円から9000万円程度を予想している。
公園内には市民ランナー向けのシャワーやロッカーの施設、歴史体験のテーマパークを設け、既存の建物をカフェ、レストランとして活用し、売店や天守閣の観覧料などを収入源にする計画だ。
一方、天王寺公園は来年10月から、近畿日本鉄道が、エントランスエリアや茶臼山北東部エリアなど約3ヘクタールの管理運営を担当する。都市公園法に基づき、園内の敷地を事業者に貸し出す手法をとるため、近鉄は公園使用料として年約3000万円を市に支払う。収益の中から維持費なども負担するが、市への収益の還元はない。