仕事の報酬をもらいすぎるのは良くありません。成長の妨げになるからです。高い報酬をもらっていると、会社の求人担当者は、あなたのことを十分に知る前に落としてしまいます。知り合いも、あなたが十分にできる仕事でも振ってこなくなります。仕事を依頼されなければ、条件を交渉する機会さえありません。キャリアの初期〜中期にある目に見えない壁は、性別ではなく、報酬なのです。

実際、報酬が高い人よりも、低い人の方が仕事のチャンスはたくさんあります。さらに言うと、少し低めくらいの方が、条件としては一番良いです。より多くの条件や選択肢を提案してもらえるので、自分のキャリアを最大限に伸ばせるのです。長い目で見れば、受け取る報酬全体は最大にできるでしょう。報酬は仕事の成果について来るものであって、報酬は仕事の成果を生みません。FranklinCovey社の共同創業者であり、10冊の本の著者でもあるスティーブン・R・コヴィー氏は、大きな成功を収めている人の8つの習慣について書きました。

コヴィー氏は35年以上求人活動をしており、500件以上の仕事の依頼を交渉し、500人以上の人にアドバイスをしています。ほとんどの会社は、求人の応募者が望む報酬を喜んで払いません。大体は、企業の予算内に収まるようになりますが、さらに良いのは、応募者が足りないと感じずに、長い目で見れば多くの報酬が得られる正しい決断をすることです。


高い報酬をもらうと起きること


求人担当者も、人事部長も、応募者も、誰もが知っておいた方がいいことがあります。それは、報酬は常に少なめの方がいいということです。会社側が提示した報酬の金額について考える時、次のようなことを求人応募者にアドバイスします。


報酬をもらいすぎると多くを期待される

常に素晴らしい成果をあげることを期待され、一つのミスも大きく受け取られ、昇給も最小限の範囲に抑えられます。


準備期間がなくなる

新しい仕事で、学んだり準備を整える期間にも、不要なプレッシャーが大きくのしかかります。周囲は、あなたはすでにできる人だと思っているので、そのプレッシャーを無くすのは無理でしょう。


引き返せなくなる

普通以上に給与をもらうということは、人事部長や求人担当者、人事の最高責任者と、報酬について特別なやり取りをしているということです。これは相当なプレッシャーです。すぐに仕事で結果を出さなければ、誰も守ることができないうえに、守りたいとも思わないでしょう。


大きな仕事はそんなにない

不当に大きな目標を達成するのはとても大変なことなので、昇給はしにくくなりますし、その給与では社内で他の機会を与えられることもありません。転職をしようと思っても、選考でふるいにかけて落とされてしまうかもしれません。


仕事を選ぶときには「本当にやりたいか」を重視


人間は、意識せずに短期的な報酬を大きくしようとしている時に、ゆっくりと長い時間をかけて成長します。私は、応募者にはキャリアを最大限に伸ばすことを考えなさいとアドバイスします。この考え方の裏にあるのは、一番お金が稼げそうな仕事ではなく、潜在能力の良いところを一番出せそうな仕事を選ぶということです。

求職活動中であれば、より大きな仕事、成果に対してすぐに評価をしてくれること、わかりやすいチャンスを求めましょう。求人担当者が連絡をしてきたら、最初に報酬について聞くのではなく、仕事について聞きましょう。その仕事にはどのような課題があるのか、より大きなプロジェクトや会社の事業戦略とはどのように関わっているのか、というようなことです。何社かの条件を比べる時は、報酬の金額ではなく、自分の潜在能力を一番生かせそうな仕事を選びましょう。

仕事の条件の交渉の準備をする前に、私は応募者に、報酬に関係なく本当にその仕事がしたいかどうかを聞きます。答えが「いいえ」なら、その場で止めます。その仕事が本当にやりたいのではなく、ただお金が稼ぎたいだけなら、がっかりすることになります。長い目で見れば、自分のキャリアを最大限に伸ばす選択が、報酬を最大にする方法でもあるのです。報酬は仕事の成果についてくるものです。その逆はありません。


Why You Should Take Joy in Being (Somewhat) Underpaid|Inc.

Lou Adler(訳:的野裕子)
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