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 神奈川県鎌倉市の江ノ島電鉄「鎌倉高校前」駅のそばにある踏切が、台湾からの観光客の人気スポットになっている。アニメ「SLAM DUNK(スラムダンク)」の舞台のモデルになった場所で、子供のころにアニメを見た世代が大人になり、「思い出の場所」を訪れているようだ。江ノ電や県も、台湾からの呼び込みに積極的に動き始めている。

 秋晴れの9日の日曜日に、「鎌倉高校前」駅で下車してみた。目の前に広がる湘南の海では、たくさんの人がサーフィンを楽しんでいた。1997年には「関東の駅百選」にも選ばれた景勝地。ただ、付近には高校があるくらいで、静かな住宅街だ。

 駅のすぐ東側の小さな踏切で、熱心に写真を撮影している男女4人組がいた。一眼レフで踏切だけを収めたり、海を背に自分たちも入ってみたり。「なぜここで?」と尋ねてみると、「スラムダンクの写真を撮りに。ずっと来てみたかったんです」と、台湾から来たという女性(37)が笑顔で答えてくれた。家族、友人と訪れたという。

 手に持っている自作のガイドブックには、アニメ「スラムダンク」のオープニングのシーン。目の前に広がる風景にそっくりだ。

 話している途中、遮断機が下りてきた。すると、この4人組をはじめ周りにいた観光客たちは、一斉にカメラやスマホで江ノ電の緑色の車両が通過する様子を撮り始めた。

 台湾出身で横浜市鶴見区に住む女性(32)も、台湾から遊びに来た友人らとピースをしたりジャンプしたり、様々なポーズで写真を撮っていた。「小学生のころ、スラムダンクのアニメを見ていた。友人が『日本で一番行ってみたい場所』というので、私も初めて訪れました。海もきれいだし、神奈川で一番おすすめの場所ですね」と話した。

 台湾でスラムダンクが最初に放送されたのは90年代だが、江ノ電や近所の住人によると、台湾から20~30代の観光客が集うようになったのはここ数年だという。