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【戦後70年】「戦艦陸奥」主砲80年ぶり横須賀へ“里帰り”…「刀鍛冶の匠と西洋技術が結集した傑作」

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【戦後70年】
「戦艦陸奥」主砲80年ぶり横須賀へ“里帰り”…「刀鍛冶の匠と西洋技術が結集した傑作」

屋外展示されている「戦艦陸奥」の主砲。横須賀への80年ぶりの「里帰り」が決まった=東京都品川区

 昭和11(1936)年に海軍直営の軍需工場「横須賀海軍工廠」で製造され、現在は「船の科学館」(東京都品川区)が保有する「戦艦陸奥」の主砲が平成28年に80年ぶりの「里帰り」を果たす見通しとなった。横須賀市内への移設に向け、募金活動もスタートし、「陸奥の里帰りを支援する会」発起人で元統合幕僚長の斎藤隆さん(66)は「日本の近代化を支えてきた横須賀を発信するための一里塚」と話している。

 陸奥は大正10(1921)年に横須賀海軍工廠で建造された。当時は「世界最強の戦艦」とされ、昭和11年の大改装工事で8つの主砲が製造された。先の大戦では、主力艦としてミッドウェー海戦などへ出撃したが、18(1943)年に広島県柱島沖で原因不明の爆発事故により沈没。46年に主砲が引き上げられ、そのうちの1つが49年から「船の科学館」で屋外展示されてきた。主砲の全長は18・8メートルで、重量は102トン。口径は41センチあり、射程は36キロを誇ったという。

 横須賀市内への「里帰り」案が浮上したのは昨年末。東京五輪・パラリンピックの2020(平成32)年開催が決まったことを受け、現在の主砲の展示場所に客船用の大型桟橋が建設されることになったためだった。船の科学館が主砲の移設を検討しているとの情報が斎藤さんらの耳に入り、平成28年に製造されてから80年を迎えることから、今年5月に地元選出の小泉進次郎衆院議員や横須賀市の吉田雄人市長らを発起人とした同会を設立した。

 同会では市内のヴェルニー公園を移設候補地として、船の科学館に3万3千人の署名を携えて譲渡申請を行った結果、10月末に「無償譲渡する」との通知を受けた。現在、約4千万円とされる移設費用の確保に向け、募金活動を行っている。

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