メモリ メモリ(メモリーカード)の性能説明


最終更新 2012年10月

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【 メモリ 性能解説 メニュー】

メモリってなに?
メモリの性能とは?
メモリ容量 メモリの種類 FSB(メモリーバス)
デュアルチャンネル(デュアルチャネル/トリプルチャネル) CL/アクセスタイミング
ECC Reg JEDEC準拠品
メモリの取り付けについて

【 メモリってなに? 】

メモリとは、「Memoryメモリー)」の事で、つまり「記憶」という意味です。
情報を記憶する部分をメモリと言う・・・ そのまんまですね。

データを保存するパーツには「ハードディスク(HDD)」というものがあり、こちらはデータを長期的に保存できますが、カセットテープやビデオテープのように磁気によって物理的にデータを読み書きするので処理に時間がかかります。
この時間のかかる部分と CPU がデータをやり取りしていては、パソコン全体の動作も遅くなってしまいます。

そこで「使用するデータを電気的に保存して置く場所を作って、そことデータのやり取りをさせれば、もっとパソコンを早く動かせるじゃないか」という考えができました。
その、データを電気的・一時的に保存しておく場所が「メモリ」な訳です。


メモリの容量(記憶量)がたくさんあればあるほど、パソコンはたくさんのソフトをまとめて動かしたり、大容量のソフトを速く安定して動かしやすくなります。

もし使用中にメモリ容量が足りなくなってしまうと、パソコンはメモリに記憶できない分をハードディスクに書き込んで補おうとします。
しかしメモリに比べ動作の遅いハードディスクから直接データを読んだ場合、読み出し速度も一定ではないため、その分パソコンの動作は重く不安定になってしまいます。
このメモリが足りなくなり、代わりにハードディスクがガリガリ動いてる状態を「スワップ」と言います。
スワップが発生してもパソコンをそのまま使い続ける事は出来ますが、やはり快適とは言えない状態となります。

また、ソフトを終了すると、そのソフトが使っていたデータ分はメモリから減る(解放される)のですが、完全には解放されない場合が多いです。
そのため長時間パソコンを使っていると次第にメモリ容量の残りが少なくなっていき、そのうちメモリ不足でコンピューターが不安定になったりします。
ソフトによってはメモリが足りないと起動できなかったり、警告が表示されるものもあります。

ですから、メモリは最低限あればパソコンは動作しますが、その容量があればあるほど、たくさんのソフトを同時に使用したり、長時間使用する時でも快適にパソコンを使い続ける事が出来ます。

メモリ 左がメモリの実物です。
黒いがたくさん並んでいますが、
ここにデータが記憶される訳です。

メモリは見ての通り、四角いボードの上にデータ記憶用のICチップがたくさん付いているもので、機械的には単純なものです。

メモリは IC という部品そのものであり、機械的にどうこういうものではないため、部品の相場がそのまま値段に影響します。
国際的な半導体(コンピューター部品)の価格の相場は毎日変動しているため、それに合わせてメモリの価格も、まるで株価のように頻繁に変わっていたりします。
出来るだけ安い時に買いたいものですね。

【 メモリの性能とは? 】

メモリは機械というよりは部品そのものなので、性能も良し悪しというより、使えるか使えないかと、どのぐらいの容量があるかという感じになります。

メモリ容量

データを保存する場所なのですから、保存量が一番のポイントです!
256M とか 512M とか 1GB(1024M) とかあって、256M だとそのまま 「256M 分の容量」 です。
単位は 1000M(メガ) で 1G(ギガ) となります。

複数のメモリをパソコンに付けている場合、単純にメモリの容量を足したものがパソコンの総メモリ容量となります。
つまり、512M のメモリを2個付けたら、メモリ容量は 1024M となります。
この場合、1024M(1G) のメモリを1個付けた場合と同じ事になります。

ただ、メモリスロット(メモリを指し込む場所)が2個しかなかった場合、2つのメモリをつけるともう付ける場所がなくなりますから、それ以上メモリを増やそうと思っても追加することが出来ず、付け替えしか出来なくなります。
しかし2つスロットがあって 512M のメモリを1個付けている場合は、まだ1スロット余っているので、後でそこにメモリを増設できます。
ですからメモリスロットの事を考えると、出来るだけ大容量のものを使った方がいいでしょう。
ただ、メモリは大容量のものほど値段も高くなるので・・・
もし増設を考える場合は、お財布の中身とも相談ですね。

メモリは複数つけるより1個だけの方が動作が安定すると言われています。
しかし最近は、「デュアルチャンネル(チャネル)」と呼ばれる、複数のメモリを連動して使う技術が一般化しています。
(3つ使う技術は 「トリプルチャネル 」といいます)
これらについては後述します。


メモリの種類


メモリにもいくつか種類があります。
ただし、マザーボードによってどのメモリが使えるかが決まっていて、種類が違っていると使えないので注意して下さい。

現在一般的なメモリは以下のものです。

DDR
(2001〜2005)
DDR とは「ダブル・データ・レート」の略です。
それ以前のメモリよりもデータの送受信量が2倍になっており、高速で高性能になりました。
現在は DDR2 の登場により旧式化していますが、2005年頃まで使われていたので、少し古めのパソコンだとこれを使う必要があります。
DDR2
(2004〜)
DDR の性能をさらに改良した高性能な DDR メモリが「DDR2」です。
2004年から登場し始めたもので、DDR(1)との互換性がないため、DDR2 に対応していないパソコン(マザーボード)にこれを取り付けても動きません。
DDR と比べて処理が早いだけでなく、消費電力も抑えられています。
DDR3
(2007〜)
DDR2 の性能をさらに改良した最新型メモリが「DDR3」です。
2007年から登場し始めたもので、データを先読みする新技術によって DDR2 よりも高速であり、さらに消費電力も低くなっています。
2008年までは価格が高く、あまり普及しなかったのですが、2008年末に DDR3 メモリを専用とする CPU 「Core i7」 が登場して一気に普及、これによって価格も低下し、現在は DDR2 に代わる主流のメモリとなっています。
DDR3L
(2012〜)
DDR3 をもっと低い電圧でも動作するようにした、省電力型の DDR3 です。
ノートパソコンやサーバーなど、省エネが重視されるパソコン向けのメモリです。
基本的な性能は DDR3 と変わりませんが、価格は高めです。
SDRAM かつて最も一般的だったメモリです。
値段が他の種類に比べて安いので予算に合わせた容量が買えていました。
現在は DDR に主流が移っており、すでに古いタイプです。
DRDRAM
(RDRAM)
昔の Pentium4 のために開発されたメモリで、独自の技術によって処理速度が高められていました。
しかしすごーく値段が高かったため、ほとんど普及しませんでした。

なお、DDR メモリの正式名称は「DDR-SDRAM」です。
(DDR2 なら DDR2-SDRAM が正式名です)
お店や仕様書などでは DDR-SDRAM と書かれている場合と、単に DDR と書かれている場合の2通りがありますが、どちらも同じものだと思って構いません。

メモリはマザーボードや CPU に対応したものを買わないと動きませんから、好きなものを自由に選べると言う訳ではないので注意して下さい。
基本的には、マザーボードが対応しているものの中で一番高性能なものを買う、という感じですね。


FSB(メモリーバス、バスクロック)

CPU の FSB と同じで、コンピューターがデータをやり取りするスピードです。
数値が大きいほど処理が高速になります。 メモリの FSB は「メモリーバス」とも呼ばれます。

このメモリーバス(メモリの FSB)はマザーボードが対応しているものと合わせなければなりません。
例えば、マザーボードの対応 FSB が 200MHz であるなら、メモリも 200MHz のものを買わないといけない訳です。

昔は FSB がそのままメモリの名前(例えば FSB100 のメモリは PC-100 という名前)だったので解りやすかったのですが、最近のメモリの名前はメモリーバスとの関連がなくなっています。
例えば、FSB100用のメモリの名前が「PC-1600」、FSB133用のメモリの名前が「PC-2100」といった具合です。

しかし現在主流の「DDR メモリ」は、FSB100対応のメモリには「DDR200」、FSB200対応のメモリには「DDR400」と、FSB を2倍した数値が書かれています。
(DDR メモリはデータの転送量が2倍なので、数値も2倍して書かれるようになりました)

「PC-○○」の表記より、「DDR-○○」の表記の方が解りやすいので、こちらの方を参考にするといいでしょう。
(そのためマザーボードのメモリ対応表記も、メモリの名前や FSB ではなく、「DDR200〜400対応」という感じでかかれている事が多くなっています)

現在の主流(及び予定されている)メモリの商品名と、FSBを表にすると以下の様になります。

DDRメモリの名前 メモリーバスの表記 (ベースFSB)
PC1600 DDR200 100
PC2100 DDR266 133
PC2700 DDR333 166
PC3200 DDR400 200
PC2-3200
(PC 3200 DUAL)
DDR2-400 200
PC2-4300 DDR2-533 266
PC2-5300 DDR2-667 333
PC2-6400 DDR2-800 400
PC2-8500 DDR2-1066 533
PC3-6400 DDR3-800 400
PC3-8500 DDR3-1066 533
PC3-10600 DDR3-1333 667
PC3-12800 DDR3-1600 800
PC3-14900 DDR3-1866 933
PC3-17000 DDR3-2133 1066
PC4-19200 DDR4-2400 1200
PC4-21333 DDR4-2667 1333

ただ、お店などでは表記を省略している場合もあるので注意して下さい。
例えば、「PC2-5300」のメモリを「PC5300」としている場合や、「DDR3-1600」のメモリを「DDR1600」と書いている場合もあります。


デュアルチャンネル(デュアルチャネル/トリプルチャネル)

これは正確にはメモリの性能ではなく、マザーボード や CPU 側の性能なのですが・・・

「デュアルチャンネル」はメモリを2枚1組で使って、データの処理をさらに高速化する技術です。
2つのメモリを組み合わせて、データを分散して処理を行い、データのやり取りの速度を向上させるもので、現在のパソコンはこれが主流になりつつあります。

しかし新しい技術であるため、古いパソコンでは対応していません。
この技術に対応したマザーボードでなければ利用できず、デュアルチャンネルでメモリを使う場合には同じ性能のメモリを2枚、決められたスロット(差し込み口)に付けなければならない、などの決まりがあります。

一部のマザーボードには、異なる性能のメモリでもデュアルチャンネルが使用可能な「フレックスメモリー」という技術が搭載されていますが、基本的には同性能のメモリを2枚組み合わせて使う技術だと考えておきましょう。
使うメモリは最近のものであれば、基本的にはどれでも構いません。

最新型のメモリ 「DDR3」 は、デュアルチャネルで使うことが前提となっています。
さらにメモリを3枚組み合わせて、もっとデータの高速化を計る「トリプルチャネル」という技術にも対応しています。
現在はメモリを4枚組み合わせる「クアッドチャネル」も登場しました。

最近は数枚組で使う事を前提に、複数セットでメモリが売られていることが多いですね。

なお、この技術は以前は「デュアルチャンネル」と呼ばれていたのですが・・・
「チャンネル」という言葉が他の意味も持つためか、最近は「チャネル」という呼び名に変えられつつあります。
英単語では「channel」であり、どちらの読み方でも間違いではありません。


CL、アクセスタイミング

CL」とはキャス・レイテンシという言葉の略で、メモリのデータを転送する時のウェイト時間(待ち時間)を表します。
パソコンの中でデータを送信する時に 1,2,3 と数えて(待って)からデータを送るのが CL3 で、1,2 と2つ待ってからデータを送るのが CL2 です。
だから CL2 の方が高速なのですが、実際の所、あまり違いはありません。
参考程度に考えておけばいいでしょう。

また、現在は CL よりも 「アクセスタイミング」 というものの方が主に使われています。
これは 5-5-5-12 とか 9-9-9 とかいう数値で表されていて、例えば 5-5-5 なら CL5 と同じです。
CL と同じく数値が低いほど速いのですが、FSB が違う場合、そちらの方が影響が大きくなります。

例えば、DDR2-800 でアクセスタイミングが 5-5-5 のメモリと、DDR2-1066 でアクセスタイミングが 9-9-9 のメモリがあった場合、アクセスタイミングは 5-5-5 の方が速いのですが、基本性能(FSB)は DDR2-1066 の方が良いので、実際はこちらの方が速くなります
アクセスタイミングも「低いほうが多少マシ」程度に考えておきましょう。

もしメモリを複数使っていて、それぞれの CL やアクセスタイミングが異なっている場合、遅い方に合わせられます・・・
不安定の要因になる事もあるので、出来れば同じものを使いましょう。
最近のメモリは複数枚がセットで売られているので、それを買って使うのが無難ですね。


ECC

ECC」とは「エラーチェック&コレクト」の略で、メモリに記録したデータに発生した細かいエラーを訂正する機能の事です。
この機能があった方がデータのやりとりの信頼性があがるのですが・・・
普通のメモリよりも割高になりますし、一般の家庭で使うコンピューターにそこまでのエラーチェック機能は必要ないため「ないよりマシ」程度のものと考えておけばいいでしょう。
また、マザーボードや CPU が ECC 機能に対応していないと、機能しません。
複数の種類のメモリを搭載している場合は、全部が ECC に対応していないと、やはり無効です。

なお、ECC がないメモリには「nonECC」と書かれている場合もあります。


Reg (Registered)

Reg」とは「レジスタ」の略で、メモリに特殊なチップ(IC)を追加し、より大容量のメモリを搭載できるようにしたものです。
しかしその分、価格は割高になります。
メモリの容量を増やすための技術の名前なので、性能に直接関わるようなものではありませんね。

メモリの性能表記に「Reg」が付いている場合もありますが、あまり気にしなくてもよく、一般の家庭用パソコンで Reg の機能はあまり必要ありません。
Registered のメモリは普通は「サーバー」と呼ばれる大型のコンピューターで使われます。
Reg でない一般用メモリには「unbufferedアンバッファード)」と書かれている場合もあります。

なお、Reg が搭載されているメモリは、CL(キャス・レイテンシ)が1つ遅くなります。


JEDEC準拠品

「JEDEC(ジェデック)」とは、電子部品の標準規格を作ろうとしているアメリカの大きな団体です。
主要なパソコンメーカーも参加していて、この JEDEC に対応した品であると認められていることは、その製品が安心できるものであることを表しています。
他にも「メーカー純正品」などという表記があると、安心できますね。
性能ではなく、「品質保証」の意味だと思ってください。

メモリは正規のものとは言えないような、様々なものが出回っています。
アヤシイ出所のものや安いものを使ったからと言って必ずしも不具合が出る訳ではないのですが、高い買い物なのですから、安心できるものを選びたいというのもありますね。


【 メモリの取り付け 】

参考までに、簡単にメモリの取り付けについて説明します。

メモリは「メモリスロット」という場所に取り付けます。
これは右図のような長くて凹型の部分で、両脇に止め具が付いています。

付ける時は止め具を左右に開いて、ザクっと刺し込むだけです。
左右の向きがありますので、メモリの刺し込む部分の切り欠きを、スロット側の刺し込み部の中にある凸型の所に合わせてください。
まあ、逆向きだったら刺せないのでわかります。
ちゃんと刺し込めれば、止め具が「カチッ」とはまるはずです。
外す時は、止め具を左右に開いてから、引き抜くだけです。
簡単ですね。(^^
メモリはパソコン部品の中でも最も増設や交換を考える部分ですので、着脱も楽に出来るようになっています。

なお、画像のものは黒一色で止め具が白ですが、最近は複数のメモリをセットで取り付けて使用する「デュアルチャネル」「トリプルチャネル」の技術が普及しているため、どのスロットがセットになっているのかが判るよう、色分けされているものも増えています。

取り付けたらコントロールパネルのシステムを見て、メモリが増えているかどうか確認しましょう。
増えていればOKですね。

実際にパソコンパーツを交換する場合は、
書籍などを買ってそれを見ながら行う事をお勧めします。

ドスパラ:パーツカタログ、メモリリスト:最大手パーツショップで、商品レビューなどがあります
パソコン工房:パーツ、メモリ一覧:老舗ショップで、商品リストが見やすいです
ツクモ電機:パーツカタログ メモリ:大手PCパーツ店で、品ぞろえは豊富です

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