■正面から向き合わず
加藤前支局長の起訴直後、米国務省のサキ報道官は、韓国における言論の自由、表現の自由に「懸念」を表明。サキ氏は「(韓国)検察当局の捜査に当初から関心を持ってきた」と強調した。
最近では、谷内正太郎国家安全保障局長が21日、青瓦台(大統領府)を訪問し、金(キム)寛(グァン)鎮(ジン)国家安保室長との会談で「報道の自由と日韓関係の観点から極めて遺憾である」と日本政府の立場を伝えた。
だが、韓国政府は、これら日米両政府からの懸念に対して、明確なコメントは避けている。
米国務省報道官の懸念表明については「発言内容をよく見ると、産経新聞起訴(発言のまま)の件への直接的な評価はない。年例(2013年版)の人権報告書の中で『出版物などに関する名誉毀損』に言及したものだと、われわれは理解している」(韓国外務省報道官)と説明した。
また、日本政府からの懸念や遺憾表明にも、「韓日政府間の外交的事案ではない。日本政府の方々が不必要なことに言及するのは適当ではない」(同)とし、あくまでも韓国国内での法的問題として位置づけ、正面からの回答はない。
ソウルの外交筋は「韓国外務省は当然、外交問題として内心では懸念しているようだ」という。しかし、本心はともかく、韓国当局が問題を“法”に委ねる一方で、韓国の対外イメージ、国益も損なわれ続けている。