■外面を気にして
愛国心や自尊心の強さに関連し、韓国の人々を見ていて感じるのは、外面を気にするということがある。海外の各国から韓国を「よく見られたい」、または、「韓国がどのように見られているのか」に敏感なことだ。
筆者の体験では、その一例として、2002年に日韓共催で行われたサッカー・ワールドカップ(W杯)がある。韓国での開催が世界から評価を受けるよう、国を挙げて大会成功に努めていた。一方で「わが国(韓国)での大会準備はどうか」「開催状況はどうか」と当時、韓国W杯組織委員会など関係者から何度も聞かれた。「世界が注目する舞台で、韓国を立派に見せたい」という熱意に、素直に感心した記憶がある。
韓国の外からの見た目や、評価を強く気にする例だが、韓国としては、自国が「よく、立派に見られ」なければならず、「醜態をさらしてはいけない」ということだろう。だが、今回の産経新聞前ソウル支局長への起訴で、“よく見せてきた韓国”の外面は、一角から崩れ始めている。
その可能性に朴槿恵大統領自身が、間接的に触れたと思われる発言がある。
朴大統領は9月16日、野党議員が国会で大統領に関する噂に言及したことを、名指しを避けつつも「国民を代表する大統領に対する冒涜(ぼうとく)的な発言は度を超えている」と非難。さらに「国家の品位墜落と外交関係にも悪影響を及ぼすことだ」と強調した。
韓国国内(この場合は政界)での大統領に関する噂の拡散を戒めたものだが、「国家の品位墜落」と「外交関係への悪影響」という朴大統領の懸念は、加藤前支局長の起訴によって現実の問題となってしまった。