■見せしめがアダに
産経新聞ソウル支局がある建物の前では、起訴処分の前日(10月7日)から、にわかに「反産経デモ」が始まり、毎日のように続けられた。“行け!行け!ドン!ドン!”で、実のところ騒がしい。
警備に当たってくれている警官隊の人々に、こちらは「ご苦労さまです」と労をねぎらっているのだが、デモ参加者の人々は産経新聞への懲らしめや見せしめに躍起だ。だが、その“見せしめ”が、今やアダとなって返ってきていることに、韓国社会は気付いている。
当初「(産経新聞は)度を超した」と非難していた東亜日報が相変わらず産経バッシングを続けつつも、先述のように「(起訴に)実益はなく、韓国は言論弾圧国となった」と当局の処分には否定的だ。
また、今回の問題で終始、産経批判の姿勢をとってきた朝鮮日報でさえ、起訴直前の10月3日付で「どんなに腹立たしくとも、起訴には無理がある。国民感情を満足させることができるかもしれないが、失うものの方が大きい」と懸念を示した。
産経新聞が憎かろうが、「国益の観点で損害が大きい」「起訴になれば日本国内の反韓がさらに強まる」「国際世論も韓国に有利とはいえない」「国際社会で、韓国は言論弾圧国だとのイメージが生まれかねない」(朝鮮日報)という“国益”を憂慮した上での提言だった。しかし、残念ながら、こうした心配は現時点で、ほぼすべてが当たってしまった。