「知事発言は住民愚弄」 原発30キロ圏市民らが抗議文 [鹿児島県]
九州電力川内原発(鹿児島県薩摩川内市)30キロ圏の阿久根、いちき串木野、出水、日置各市で反原発を唱える4団体のメンバーと、姶良市民有志は13日、伊藤祐一郎知事が再稼働に最終同意を表明した7日の記者会見で住民を愚弄(ぐろう)する発言をしたとして、謝罪と同意撤回を求める知事宛ての抗議文書を県に出した。
記者会見で伊藤知事は、再稼働への同意が必要な自治体は「県と薩摩川内市」との従来見解を繰り返し「一律に拡大すると原発の理解、知識の薄い所で一定の結論を出す(ことになり)賢明でない」と述べた。姶良市議会が再稼働反対と廃炉の意見書を可決したことには「(30キロ圏内に)11人しかいない市が可決したからといって、廃炉にするのかね」と指摘。「事故が起きても避難の必要がないレベルの放射能被害しか起こらない」と断言した。
文書を出したのは、避難計画を考える緊急署名の会(いちき串木野市)やピース・アクト出水(出水市)など。知事の「やむを得ない」との言葉は責任逃れと指摘し、愚弄するような発言の根拠を県民に説明するよう要求。安全性や避難計画、使用済み核燃料の処分に関する住民説明会や公開討論会開催も求めている。
署名の会のメンバーはこの日、いちき串木野市役所で田畑誠一市長に再稼働反対を表明するよう直接要請。田畑市長は「脱原発社会を目指すべきだが、エネルギーの安定供給を考えれば再稼働はやむを得ないとの市民の意見が多い印象だ」と答え、再稼働への賛否は示さなかった。
=2014/11/14付 西日本新聞朝刊=