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静岡市職員を逮捕 入札情報漏えい容疑

競売入札妨害容疑で職員が逮捕され、記者会見で頭を下げる山田敏夫土木部長(右)と大長義之行政管理部長=14日午後、静岡市葵区の静岡市役所で

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 静岡市発注の下水道工事の価格情報を漏らし入札を妨害したとして、県警捜査二課と静岡中央、静岡南、清水署は十四日、公契約関係競売入札妨害の疑いで、市河川課副主幹大村吉隆(44)=同市駿河区大谷一=と建設会社「静岡西部建設」土木部次長増田明彦(63)=同区下島=の両容疑者を逮捕した。

 逮捕容疑は八月中旬ごろ、駿河区の下水道管耐震化工事の制限付き一般競争入札で、大村容疑者が増田容疑者に落札の下限となる最低制限価格の推計値を携帯電話で教えたとされる。増田容疑者は最低制限価格と同額で落札し、入札の公正を害したとされる。捜査関係者によると、ともに容疑を認めている。

 捜査二課によると、工事は大村容疑者が所属する河川課ではなく、市下水道維持課が発注した。十一社が応札し、静岡西部建設が千九百二十九万九千円で落札した。大村容疑者は工事の設計金額などから最低制限価格を試算していた。

 大村容疑者が契約課にいた二〇一一年ごろ、静岡西部建設とは別の静岡市内の建築会社の社員として同課に出入りしていた増田容疑者と知り合った。営業や入札を担当する増田容疑者の働き掛けで情報を漏らすようになったとみられる。

 県警は八月以降に情報収集を進め、十月中旬から二人を任意聴取していた。別の情報漏えいや金品の授受がなかったかも調べる。

◆大村容疑者 情報閲覧権限なし

 静岡市職員の逮捕を受け、市の大長義之行政管理部長と山田敏夫土木部長が十四日夕、市役所で会見し「日ごろから綱紀粛正している中、大変重く受け止める」と謝罪した。

 大村容疑者は土木技師で、河川課で設計と積算を担当。「体調不良で入院する」と本人から申し出があり、十月十六日から有給休暇を取っていた。県警から市に捜査協力依頼があったのはちょうどそのころ。関係書類を提出するなど捜査は進んでいたが、大長部長らは「今日逮捕され、急転直下だ」と驚きを語った。

 市によると、パソコンでの入札情報閲覧には個人管理のパスワードが必要で、大村容疑者は持っていない。最低制限価格算出の計算式は公表されているが、算出に必要な直接工事費など四種類の数値は非公開。価格を知り得るのは設計者と入札担当の契約課長ら数人のみで、同容疑者は入っていない。

 大村容疑者は一九八九年採用で土木総務課、技術管理課などに勤務。二〇〇九年から三年間、契約課に所属した。山田部長は「性格は非常に明るく、意見をはっきり言う。技術面でも上司や同僚に信頼されていた。勤務態度に問題はなかった」と述べた。職員の一人は「特定の業者と親しくしていると聞いたことはまったくない」と話した。

 逮捕容疑の入札に参加した業者や県建設業協会の会員業者は、静岡西部建設の不審なうわさは聞いたことがないと口をそろえ、積算技術の進歩で最低制限価格と同額の応札はよくあると話す。ある業者は入札が八月だったことから「夏場は仕事が薄く、し烈な争いになる」と説明する。

 

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