東工大元教授 研究費を車購入に流用11月15日 17時28分
東京工業大学の元教授が在職中、業者からの物品の購入を装って、研究費をだまし取ったとして逮捕された事件で、元教授が研究費を業者の口座にプールしたうえで、自家用車の購入などに流用していたことが警視庁への取材で分かりました。
業者のほうも研究費の一部を運転資金として使っていたということで、警視庁は元教授と業者との癒着の実態を詳しく調べています。
東京工業大学大学院の生命理工学研究科の元教授、岡畑惠雄容疑者(67)は、在職中の平成21年から翌年にかけて、東京・世田谷区の化学製品販売業者から、薬品などを購入したように装うために納品書や請求書を偽造し、大学が管理していた国などの研究費、1490万円を業者の口座に振り込ませて、だまし取ったとして、経理などを担当していた非常勤職員の元秘書や業者の2人と共に詐欺の疑いで逮捕されました。
警視庁によりますと、いずれも容疑を認めているということです。
岡畑元教授は、だまし取った研究費を「預け金」の形で業者の口座にプールしていましたが、それらの金を自家用車の購入やクレジットカードの支払いなどに充てていたことが、警視庁への取材で新たに分かりました。
一方、業者のほうも、プールされた金の一部を運転資金として使っていたということです。
業者の口座には、以前から研究費がプールされていたということで、警視庁は岡畑元教授と業者の癒着の実態を詳しく調べています。
東工大「癒着把握できず」
東京工業大学は15日午後、東京・目黒区のキャンパスで記者会見しました。
岡畑元教授については、今回の逮捕容疑となった1490万円の研究費の流用とは別に、実験器具などの架空発注を行うなどして、およそ1900万円の研究費を不正に使用していたことが、ことし1月に明らかになっています。
会見で辰巳敬副学長は、「新たな不正行為が判明し、逮捕されたことは大変残念で、深くおわび申し上げます」と謝罪しました。
そのうえで、教職員の研修や納品の検査の在り方の見直しなどを通じて、再発防止に取り組む考えを示しました。
しかし、岡畑元教授と業者との間で預け金がいつから行われていたかや、どのような癒着があったかについては大学側は「把握できていない」などと述べました。