「まるで昭和時代の学生運動」京大騒動、ネットで驚きと疑問
京都市左京区の京都大キャンパスで4日、中核派系活動家の逮捕に抗議する学生集会に交じっていた京都府警の私服警官が学生らに拘束され、騒ぎになった。
インターネット世代の学生らは「警察が100名以上結集している」などと活発に情報発信していたが、その一方、「京大ポポロ事件」と名付けて警察批判に結びつけようとする動きも見られた。
騒動は4日昼頃に発生。京大吉田キャンパスの屋外で、学生が集会に交じっている私服警官に気づいて取り囲み、数人がかりで取り押さえた。教室に連れて行き、解放までの約3時間半に、20〜30人で問い詰めることもあったという。
集会では、11月に東京都内で行われたデモ行進で、機動隊員に暴行を加えたとして、警視庁に中核派系活動家の京大生らが逮捕されたことへの抗議活動が行われており、警官は聴衆の中にいたらしい。
この様子を、周辺にいた学生とみられる人物が「京大生が公安警察を取り押さえとる」と、現場写真をツイッターに投稿するなどしたため、ネット上では「京大すごいな」などと大騒ぎになった。
◆大学自治の重大な侵害?
これを聞きつけた一部の学生グループは騒動の直後から、「京大に公安警察が侵入。大学自治の重大な侵害!」「学生らに捕らえられた公安は学生立ち会いのもと、副学長および大学職員が尋問中」などとツイートを繰り返して実況中継。動画による中継も一部行われた。
事態収拾のため、京都府警は一時、機動隊約100人を投入して周辺に待機させていた。実況では、その様子の写真も複数投稿され、「京大の周り警察だらけ」「突入するとかなんとかで圧力をかけてきているもよう」などと学生グループ側の主張を拡散した。
さらに、この問題を昭和27年の東大ポポロ事件になぞらえ、「京大ポポロ事件」と称する動きにも発展。東大ポポロ事件では、東大のキャンパス内で開かれた「劇団ポポロ」の公演に潜入していた私服警官を学生が取り押さえ、警察手帳を奪うなどしており、学生グループ側の書き込みによると、今回も警察官の免許証、保険証を“押収”し、そのコピーをその場で配布するなどしたという。
この騒動はネット民の目にはどう映ったか。ネット上では当初、「まさか今の時代に、こんな事件が起きるとは」「ガセかと思ったらガチだった」などと、まるで学生運動が活発だった昭和時代のような出来事に対する驚きの書き込みが相次いだ。
◆まるで昭和時代の学生運動
そして、「公安がいるぜ、捕まえて尋問するぜって、そりゃあ公安にマークされるわ」「大学構内は治外法権ではない。学生だから何でもやって許されると思うのは間違いだ」などと疑問を投げかける書き込みも相次いだ。
また、京大には府警の警察官がキャンパス内に入る際、事前通告するという取り決めがあるため、同大が「無断で立ち入ることは誠に遺憾」とするコメントを発表したことについて、「警察官が立ち入りできない取り決めがおかしいのではないか」との声も上がった。
ただ、学生グループ側の主張そのままに、「ルールを破ったのは警察官の方だ」「悪いのは学生じゃなくて、不法侵入した警察の方だろう」などと警察の対応を批判する意見も一部に見られた。(鉄)
【用語解説】東大ポポロ事件
昭和27年、東大で開かれた「劇団ポポロ」の公演に潜入していた私服警官を取り押さえ、警察手帳を奪うなどした暴力行為処罰法違反罪で学生が起訴された事件。1、2審は学生の行為は学問の自由、大学の自治を守ろうとした結果だとして無罪になったが、最高裁が「(公演は)研究や発表のためのものでなく、政治的社会的活動だった」として差し戻し、48年に有罪が確定した。