空き家:定住希望の若者がいるのに…過疎地、住宅貸し渋り

毎日新聞 2014年11月15日 15時08分(最終更新 11月15日 15時56分)

貸せる空き家の発掘に力を入れる鈴木正晴さん(左)と安藤征夫さん(左から2人目)。渡辺さん夫婦(右)も2人に支えられた=愛知県豊田市の旭地区で、町田結子撮影
貸せる空き家の発掘に力を入れる鈴木正晴さん(左)と安藤征夫さん(左から2人目)。渡辺さん夫婦(右)も2人に支えられた=愛知県豊田市の旭地区で、町田結子撮影

 旭地区で鈴木さんとともに物件を探す活動をする安藤征夫さん(61)によると、家主は、仏壇がある▽墓掃除やお盆に帰省する▽荷物がある−−などを理由に貸すのをためらう。これに対し、防犯対策になる、集落が明るくなると説得する。「大事なのは、その家を地域がいかに必要としているかを分かってもらうこと」と安藤さん。地域住民があらかじめ移住希望者と面接していることも家主の安心感を生むという。

 一方、移住者に「地域行事や消防活動に参加できますか」などと尋ねることが、「地域の一員になる」意識を強め、定着を後押しする。同地区では渡辺さんら新住民を中心に縁日など新たな行事も生まれた。

 長野県阿智村の山あいで平地が限られ、新築が難しい清内路(せいないじ)地区も成功例として知られる。村と住民が空き家の発掘に力を入れ始めた06年以降、地区の人口の7%にあたる40人以上が移住した。小学校の全校児童26人の半数が、もともと地区と縁のないIターンした家庭の子どもだ。大阪からのIターン組で「空き家を考える会」会長の安藤俊治さん(64)は「地区には60軒以上の空き家があるが、貸し出せる物件は5軒ほど。賃貸物件を掘り起こし、移住希望者の選択肢を増やしたい」と意欲を燃やしている。

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