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» 2014年11月10日 08時49分 UPDATE

「忘れられる権利」認められるべきか Google検索結果「違法決定」の妥当性は (2/4)

[産経新聞]
産経新聞

問題あれば個別対応で、少ない判例

 これまでも、ネットをめぐる名誉毀損について、検索サイトに削除を求める訴訟はあった。平成25年4月と5月に東京地裁であった判決では、検索用の枠に単語を入力した際に、関連性の高い別の単語が表示されるグーグルの予測検索機能「サジェスト機能」による名誉毀損の問題が争われた。

 同4月の判決では、自身の名前を入力するとサジェスト機能で犯罪への関与をうかがわせる表記が出る日本人男性について、「違法な投稿記事のコピーについて、容易に閲覧しやすい状況を作り出している」として名誉毀損を認めた。ただ、この裁判の控訴審で東京高裁は男性の逆転敗訴を言い渡しているほか、同5月に同様の内容が争われた同地裁での別の裁判では名誉毀損を認めず請求を棄却すると正反対の判断が出ている。

 今月の東京地裁決定は、検索結果の見出しと要旨に対してで、昨年の2つの裁判はサジェスト機能が対象。削除を求めた内容は違う。ただ、いずれも名誉毀損やプライバシー侵害が認められた時点で、検索サイト側に削除する責任が生じると判断した点では共通する。

 神田弁護士は、「検索結果についてこれまでは、該当するサイトの管理者を特定して、1つ1つ削除要請をする必要があった。お金も労力もかかり、被害を訴える人にとっては大きな障害となってきた」と指摘。検索サイトの責任を認める判断の意義を強調する。さらに、「それぞれの裁判を総合すると、削除要請できる範囲が広がっているのは確かだ。プライバシー保護の範囲が拡大している」と評価する。

 ネット上の名誉毀損はこれまでも度々問題になってきたが、なぜ、近年になるまで、判例がほとんどなかったのか。これについて、神田弁護士は、「検索サイトに削除を求める仮処分申請はこれまでもあった。ただ、仮処分の段階で検索サイト側が削除に応じるなどしてきたため、裁判に至らないケースがほとんど。判決として形に残らなかった」という。

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