就職内定率:「売り手市場」到来 企業は「質も量も」に
毎日新聞 2014年11月14日 19時22分(最終更新 11月14日 22時12分)
来春卒業予定の大学生の就職内定率が4年連続で改善した。経済状況の好転を背景に企業の採用意欲は高く、早期に就活を終える学生も増えている。一方「より向いている会社に」と内定を辞退して活動を続ける学生もおり、企業側の採用活動は長期化も。リーマン・ショックの影響で「超氷河期」といわれた就活から6年。「売り手市場」到来で、強気の学生相手に企業の採用活動は一変している。
法政大キャリアセンターの大山賢一課長は「納得できる企業から内定を得て、早期に就活を終了した学生が多いと感じる」と話す。学内のサンプル調査では、7月現在で内定した学生は83%。「以前は『内定が取れない』と相談に来る学生も目立ったが、今年は減っている」と「売り手市場」を実感する。
東京都内の私立大4年の女子学生(23)も「本当に入りたい企業だけに絞った」。昨年や一昨年に活動した学生は「60社へのエントリーは当たり前」だったが「私は20社程度」。広報関連の企業に内定したが「内定を持ったまま今も就活中の友人もいる」という。
強気の学生を相手に企業側の対応も変化している。就活サイトなどを運営する「アイデム」(本社・東京都新宿区)が新卒採用担当者1000人を対象に聞いたところ、10月1日現在で採用活動継続中の企業は約7割。「中小企業では『内定者ゼロ』も少なくない」(担当者)という。売り手市場で、学生の目が中小企業にまで向かないと見られる。
百貨店大手の高島屋(本社・大阪市)は、辞退する学生も想定し、予定より多めの内定を出した。若手で活躍する社員を紹介して「自社マインド」を高めるなど「対策」も講じているという。
就職情報サイト「マイナビ」の三上隆次編集長は「サイトに求人情報の掲載を希望する企業が今年度は前年度の1.4倍。従来、新卒学生を採らなかった企業も参入し、採用意欲は上がっている」という。「3年ほど前は、企業は『学生の質』にこだわった厳選採用だったが、今年は『質も量も』となり、年度末まで採用活動を続ける会社もあるようだ」と分析している。【澤圭一郎、坂口雄亮】