東芝と東北大学は14日、日本人のゲノム(全遺伝情報)を5万円以下で解析できるチップ「ジャポニカアレイ」を開発したと発表した。一部の遺伝子の解読データからゲノムの解析結果をシミュレーションする。現状で50万円程度かかるゲノム解析の結果を10分の1以下で得られる。創薬研究などの低コスト化につながる。
東日本大震災を受けて設置された東北大学東北メディカル・メガバンク機構が地域住民1千人のゲノムを解析。その結果から、日本人のゲノムを再現するために必要な67万5千個の遺伝子を選別してチップの開発に活用した。
国内で高いシェアを持つ米アフィメトリクスの機器を使い、東芝が解析サービスを請け負う。解析料は5万円以下にする。全遺伝子を実際に解析した場合と比較してもデータの差は2割程度しかないという。東芝などは解析機器として十分な信頼性を確保できるとみている。
年内にも研究のために住民のゲノムを収集する全国の大学などを対象に解析の受託サービスを始める。2015年度で数十億円の売上高を見込む。
東芝はさらに低価格化を進めるとともに、医療現場で使いやすい装置の開発を目指す。
東芝、東北大学、アフィ、解析