インターネットに接続していれば、24時間どこでも本を借りることができる電子書籍の貸し出しが、道内では最初に札幌市立図書館で始まった。「国立国会図書館にもない書籍の貸し出しを」と、道内の出版社や地元動物園とタッグを組み、オリジナルの書籍も製作。北海道ならではの書籍がずらりとそろった。

 電子書籍として貸し出されるのは小説や雑誌など約2900タイトル。大手出版社の書籍もあるが、目をひくのは、道内の出版社や円山動物園と連携した約400タイトルだ。中心になって準備を進めたのが中央図書館の浅野隆夫さん(48)。「北海道ならではの書籍を読んでほしい」と、道内の出版社にそれぞれが出版している書籍の電子化を依頼した。だが、当初は「経費も技術もない」といった声も多かったという。

 一方で、浅野さんらは2011年から電子書籍貸し出しの実証実験を開始。市民モニターに利用してもらう中で、多くの市民が電子書籍の導入に賛同したことなどを背景に、道内の出版15社が一般社団法人「北海道デジタル出版推進協会」を設立、道内の情報誌や資料の電子化を始めた。経費面など、個別に対応すると難しい問題も、タッグを組むことで乗り越えた。