特に優秀な人こそ、そうでない人への気遣いを持って場をファシるべき
昨日は、初めて斎木くんトコのAO義塾の授業にゲストとして参加したのですが、僕はある男子生徒を泣かせてしまいました。
(相手が高校生だから良かったが、40代くらいの社会人にやったら多分俺はパワハラで訴えられるw)
僕が授業の中でやったこと:
授業の中では【チームごとにあるテーマについて付箋紙を使いながらディスカッションするワークと、そのワークの結果を発表するプレゼン】が行われました。
僕は各チームにプレゼンの内容に対する率直な感想を伝えると共に、各チームのワークの”プロセス”の評価を、最近鈴木寛教授のゼミで学んだことに僕の経験を乗せてフィードバックしました。
『なぜ1人で物事にあたるのではなくグループで物事にあたるのか?』という問いかけから、対話による『創発』(ぼくは、会話とは創発の連鎖である、と大学で教わりました)、『熟議』による深まりの話を続けて、『特に優秀な人こそ、そうでない人への気遣いを持って場をファシるべき』という僕のポリシーをつなげてフィードバックを行いました。
というのも、その上述の男子生徒は面白いアイディアを出して発言し周りに伝える能力に優れたリーダータイプの生徒だったんですが、彼はやや内気な生徒の意見や考えを引き出すことを一切やらずにいたんです。
チームでの対話において
リーダーが心得ておくべきこと
僕は『ミーティングにおいて自分から発言しないこと』はよろしくない(ミーティングに貢献していないので。)と考えているのですが、それ以上に、『自分から発言することに慣れており余裕が有るにも関わらず、そんな人たちから意見を引き出すことをしない』というのはもっと良くないと思っています。
社会に転がっている課題や、僕らが社会で生きていくなかで関わるプロジェクトは、今や”優秀な人間”がひとりで立ち向かって何とか出来るようなものではなく、様々な人が持つ資質を重ねて、人が束になってあたっていかねばならないでしょう。
それにも関わらず、これからそういうプロジェクトに関わっていこうという、優秀なリーダータイプの人間が、人の力を引き出す仕事に無関心でいいはずがないのです。
(まぁ僕もそれができているわけじゃなくて、そういう人の意見を引き出すのに優れた人のファシリテーションを見て反省して気付いたことなんですけどね)
というようなことを、普通に「それができてないのは君です!」と、彼の友人が多く居る場でフィードバックしちゃったんですよね(笑) 斎木くんが「優しくフィードバックしてね」と前もって僕に言っていたにも関わらず(笑)
どうやら彼は他の場でも、そういったチームワーク能力に難があることをやんわりと指摘されたことがあったらしく、プレゼンの結果も相まって、大変悔しかったようです。
実は僕は一度、すずかんゼミでゼミ生の前で昨日の彼以上に手酷い失敗をしたことがあります(というか彼に対する僕の指摘は些細なことに厳しくあたってるだけですな)。
僕は悔しそうにしている彼(フィードバックの後から、猛烈に口数が減っていた)を見て、その時のことを思い出していて、あることを彼にも伝えなくては、と思いました。
やがて教室から高校生が何名か帰り出して、生徒もまばらになり、斎木くんが彼を激励する声をかけています。
僕が最後に伝えたのは「君が居てよかった。君のおかげで(他の生徒たちにとっても学ぶことが大いにある)良いフィードバックをすることができた。君が居なければ、こんな学びが授業で生まれることはなかった」ということです。
その発言の直後、いよいよ感極まったようで、僕は彼を泣かせてしまったのですが、実はその言葉は僕がゼミで失敗した授業の後に鈴木寛教授に頂いた言葉そのままだったりします。
(そう、僕の場合はよりヒドくて、先生は僕のプレゼンが抱えていた”本質的な”問題をさんざん授業のダシにしていましたよ。もはや今はネタですが)
その後、またちょっとした学びのやりとりがあって、斎木くんが彼を強力にencourageするような贈り物を渡したところで、昨日の「授業」は終わりました(こういうインタラクティブな学びの会合を「授業」と呼ぶには抵抗があります)。
創発により講師側に生まれる 新たな”言語化”
ここ最近、僕はワークショップを中心とした学びの場を設計してコンテンツを作るのにとてもとてもハマっているのですが、昨日はその中でも”膨大な言語化”が新たになされた日だったように思います。
僕が暗黙のうちに考えていたこと、気付いていたことが、唐突にSFCの教授陣から教わったワードとつながり、フィードバックという形で初めて言葉になったわけです。
それで久々にブログを書いてみました。
いま僕は、世代も年齢も関係のない学びの連鎖の中に自分が立っているような気がして「生きている実感」を得ています。最近、かなり伸び伸びと”共育”系のしごとを多くしていて気分が良いです。
また今後も言語化できたネタが出るたびに記事を書いて、年1更新になっていたこのブログを再開しようかなと思っています。
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