2年半ぶりに実現に漕ぎつげた「日中首脳会談」:イザ!

2014.11.13

日中首脳会談2年半ぶりに実現に漕ぎつげた「日中首脳会談」

安倍首相と中国の習近平国家主席による首脳会談が、北京で開かれるAPEC首脳会議に合わせ、11月10日に行われた。両国それぞれの思惑とは。

ホスト役として不自然な態度…敗者となった習主席

 北京でのアジア太平洋経済協力会議(APEC)で安倍晋三首相との初の首脳会談に臨んだ習近平国家主席の態度は異様なものだった。こわばった表情はホスト役としていかに…[記事詳細へ]

《日中両政府の大局的判断に敬意を―宮家邦彦氏》

首脳会談を可能にしたのはいわゆる日中「4項目合意」だったが、これには日中共通の解釈がない。しかし、日中に関わる外交上の了解や合意には、高度の「戦略的曖昧さ」も時に必要だ。「戦略的曖昧さ」こそが国家間の合意・了解に生命を与え、その長寿を保証するからである。

【正論】宮家邦彦氏 日中関係を新たな均衡点へ導け

対日・韓で習主席の表情に大きな違い

日本の安倍首相と握手を交わす際と、韓国の朴大統領と握手を交わす際とでは、中国の習国家主席の表情にはこれだけの違いが…。(以下2枚の画像を参照)

ぎこちない表情で安倍首相と握手を交わす習近平国家主席(右)=11月10日、北京の人民大会堂(代表撮影・共同)

韓国の朴大統領と笑顔で握手する中国の習国家主席(右)=11月10日、北京(聯合=共同)

日本は対面したことに意義

■「今回は、会って会談して写真を撮ればそれでいい」―外務省幹部

日中首脳会談 会談したことに「最大の意味」 ぎこちない握手も思惑通り

■「戦略的互恵関係」は日本の狙いどおり

会談で第1次安倍政権当時の首相が提唱した「戦略的互恵関係」がキーワードになった。これまで中国側は、いくら首相が呼びかけても、対日非難を強めるばかりで応じてこなかった。にもかかわらず今回、開催前提条件を引っ込めて会談したことで、日中関係のあり方は変わった。

日中首脳会談 会談したことに「最大の意味」 ぎこちない握手も思惑通り

首相は役割を果たした

■「海上連絡メカニズム」の運用で合意

当面の危機管理上の意味は大きい。政府高官は今回の会談を「尖閣諸島問題などで中国を押さえ込むためのキックオフ」と位置づける。

日中首脳会談 会談したことに「最大の意味」 ぎこちない握手も思惑通り

《海上連絡メカニズム》

日中防衛当局間の連絡体制。海空域における不測の事態が軍事衝突などに発展することを防止することを目的とし、2012年6月にホットラインの設置や艦艇、航空機間の直接通信などで構成することで合意されている。日中防衛当局レベルで確認の上で、運用開始することになっていたが、2012年9月以来、日本からの累次の働きかけにもかかわらず、防衛交流の実施に中国側が応じようとしなかったために、運用開始には至っていなかった。

江渡聡徳防衛相・安保法制担当相 安保法制見直しへ丁寧に説明

中国も「軌道修正」の意を表明

「今後も徐々に、関係改善の努力をしていきたい」―習主席

中国としては、主張の一貫性を保つため国内向けに安倍政権は「反省した」と宣伝せざるを得ない。そうなると、今後は対日批判を弱めていく可能性が高い。「靖国」「尖閣」の問題で日本を批判すると、会談実施と整合性がとれず、中国国内で政権批判を招くことになりかねない。

日中首脳会談 会談したことに「最大の意味」 ぎこちない握手も思惑通り

《開催のための前提条件だったのは》

(1)尖閣諸島をめぐる領有権問題の存在を認め合う

(2)安倍首相が任期中に靖国神社に参拝しないことを確約する

識者は会談後の日中関係をこう見る

「ドア大きく開く可能性も…」―カーネギー国際平和財団、上級研究員

「会談を前に両国が確認した4項目のうち『政治、外交、安全保障対話を徐々に再開し、信頼関係の構築に努める』がカギになる。日中首脳会談そのものよりも、これを機に日中のさまざまな対話が再開されるかがより重要となる」

日中首脳会談 カーネギー国際平和財団、上級研究員「ドア大きく開く可能性も…」

日中関係の改善に向け両国一致<11月7日>

■下記4項目を確認

【1】戦略的互恵関係の発展を確認
【2】歴史を直視し未来に向かう精神に従い、政治的困難の克服で若干の一致
【3】尖閣諸島(沖縄県石垣市)などでの緊張状態に異なる見解を有し、対話と協議を通じた不測の事態回避で一致
【4】政治、外交、安全保障対話を徐々に再開し、信頼関係の構築に努めることで一致

日中外相も会談へ 日中首脳会談、関係改善に両国が一致

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