いつも反日キャンペーンを展開する中国の官製メディアは最近、新しい“敵”を見つけたようだ。藤子・F・不二雄の漫画の主人公、ドラえもんである。
9月末から10月初めにかけて、成都日報、成都晩報、環球時報など複数の中国紙が、「われわれの両目をふさごうとするドラえもんに警戒せよ」「われわれの傷みをドラえもんでごまかされるな」などとドラえもんを一斉に批判した。掲載のタイミングが一致しておりいずれもメディアを管理する共産党宣伝部の指示を受けて執筆したものとみられる。
きっかけは、四川省成都市で開催された「ドラえもんの秘密道具展示会」が大盛況となったことらしい。同様の展示会が北京や上海などでも開催され、各地の子どもの間でドラえもんブームが起こった。しかし、日本アニメ関連グッズが飛ぶように売れたことが、反日姿勢を強める共産党当局の逆鱗に触れたとみられる。
成都市共産党委員会機関紙の成都日報の記事では、ドラえもんが日本の文化大使を務めていることや、2020年東京五輪招致の際に招致スペシャルアンバサダー(特別大使)に就任したことなどを言及し「ドラえもんは国家としての価値観を輸出し、日本の文化戦略で重要な役割を果たす」と主張し、「ドラえもんが善良な人たちの目に映る日本を象徴しているとすれば、侵略の歴史を隠し、国際的な緊張状態を招く安倍晋三政権もまた日本の真の姿だ」と安倍首相批判までこじつけ、中国国民にむやみにドラえもんに親しみを持たないよう訴えた。