塩釜で潮流発電 国内初の実用化へ・東大
プロペラを使った潮流発電装置の前で、実証実験について説明する林昌奎教授
潮流発電の実証実験を進めている東大生産技術研究所は12日、塩釜市浦戸諸島の寒風沢水道に18日に設置する発電装置を、同市内で報道関係者らに公開した。来年2月に発電を開始し、寒風沢島に電力を供給する計画で、実際に電力を利用する潮流発電実験は国内初となる。地産地消のクリーンエネルギーを活用した発電の事業可能性を探り、東日本大震災の復興に役立てたい考えだ。
潮流発電装置は、金属製の骨組みの中に直径4メートルのプロペラを縦に二つ並べたもので、計2基を水深6メートルの海中に設置。潮流でプロペラを回転させ、電気エネルギーに変換して発電する。出力は5キロワット。
寒風沢水道は寒風沢島と野々島との間の水域で、幅が狭く潮の流れが速い。発電装置は旧寒風沢桟橋付近に設置。発電開始後は寒風沢島の漁協施設に送電し、冷蔵庫の電力として活用する。
東大は、文部科学省プロジェクトとして2012年から5カ年計画で海洋エネルギー研究開発に着手。塩釜市の潮流発電、久慈市の波力発電の実証実験を進めている。事業費は全体で8億円、そのうち潮流発電分は3億2000万円。
同研究所の林昌奎教授は「国の認可を受けた日本最初の潮流発電となる。地元企業への技術移転も視野に入れ、新ビジネスへの意欲を醸成することで東北復興に貢献したい」と話す。
許可申請や地元住民への説明などで協力した塩釜市の佐藤昭市長は「震災で離島の電気復旧は最も遅れた。地産地消の電力があれば、地域にとってもありがたい」と期待感を示した。
2014年11月13日木曜日