朝鮮王朝が江戸時代などに日本に送った外交使節団「朝鮮通信使」に関する歴史資料を韓日共同で国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界記憶遺産に登録することを目指す両国民間団体などによる取り組みが、予算不足で難航しそうだ。記憶遺産登録事業は、釜山文化財団と日本の朝鮮通信使縁地連絡協議会が韓日文化交流事業の一環として2012年から推進してきた。
釜山文化財団が12日に伝えたところによると、双方は今年、学術委員会、推進委員会、実行委員会をそれぞれ構成し、両国間の代表者会議を開催するなど、記憶遺産登録に向けた動きを本格化させた。
同財団は、朝鮮通信使学会を中心に構成された韓国側の学術委員会に対し、登録に向けた韓日共同の資料リスト作成や翻訳作業などを依頼する一方、両国の合意を経てユネスコに申請書を提出する計画を立て、追加予算の編成を釜山市に要請した。
ところが、朝鮮通信使に関する韓日文化交流事業の来年度予算は今年と同水準で編成され、事業の推進が難航する見通しだ。
ユネスコへの登録は、毎年釜山で開催される朝鮮通信使祭りや日本の朝鮮通信使ゆかりの地で開かれる再現行列などの韓日文化交流事業とは別に、来年も重点的に進められる事業だ。
専門家は「来年には韓日国交正常化50周年を迎えることを踏まえ、釜山市は朝鮮通信使の記憶遺産登録のための予算を従来のお祭り事業の予算とは別途に編成すべきだ」と指摘している。
釜山文化財団のパク・スンファン国際文化交流チーム長は「記憶遺産登録事業は民間主導で進められているが、自治体や国の積極的な支援なしには推進が難しい。日本は朝鮮通信使ゆかりの自治体や政府が関心を寄せており、支援も活発化しつつある」と語った。