「立地自治体と県の同意で足りる」11月7日 18時37分
川内原発の再稼働に同意する考えを示した鹿児島県の伊藤知事は7日の記者会見で、再稼働への同意を求める範囲を立地自治体と県だけでなく、周辺自治体にも広げるべきだという意見があることについて、「一律に拡大すると、原発への理解が薄いところで一定の結論を出すことになり、日本全体をまとめるうえで錯そうするだけで、賢明ではない」と述べ、立地自治体と県の同意で足りるという従来からの見解を改めて示しました。
また、「同意」ということばを避け、「やむをえない」という表現を使った理由を問われると、「いろんな意見があるので簡単に同意とは言えない。しかし、日本では少なくとも当面の判断として、原発を活用するよりほかに道がないというか、そのほうが国民全体にとってはベターだ」と述べ、原発に代わるエネルギーが出てくるまでの間は原発を活用せざるをえないという考えを示しました。
さらに、同意を決めるプロセスが拙速ではないかとただされたのに対し、「考えられる最大レベルの説明会を開くなどして結論に到達した。周りにいろいろな動きがあるので、あまり時間を空けて判断すると、かえって、いろいろな事態を招くのでやむをえないと思う」と説明しました。
今回の判断に至った経緯については、「宮沢経済産業大臣との面談などで、エネルギー政策における原発の必要性や、事故が発生した場合には国が責任を持って対処する考えなどが明確に示された。安全性の確保については、原子力規制委員会の田中委員長が国会で『世界最高水準の安全性は担保された』と発言し、私としては規制委員会によって安全性が確保されたと考えた」などと述べ、総合的な判断だったと説明しました。
“安全性に大きな不安はない”
また、伊藤知事は記者会見で、川内原発の安全性や避難計画の実効性に大きな不安はないという考えを示しました。
このうち、安全性については、「原子力規制委員会は任務に極めて忠実で、相当の時間をかけて安全性を徹底的に追求したと思う。その結果、福島第一原発のような事故が起きても、5キロ余り離れた場所の放射線量は、県の試算で避難が必要な1時間当たり20マイクロシーベルトに達せず、命に関わる問題は発生しない。私はそれを信じる」と述べました。
また、事故への備えについて、「避難計画などを含む地域防災体制の整備に、県としても引き続き充実に取り組みたいと考えており、国においても、避難計画のさらなる充実のための支援、確認の継続をお願いしたい」と述べる一方で、住民から避難計画の実効性に懸念が出ていることを問われると、「交通や避難施設の問題を指摘する人がいるが、マイナーなことは心配しなくてよい。5キロ余り離れた地域の放射線量は動く必要がないレベルで、事故の進展を考えると時間もあるし、避難計画が実際に使われる機会はほとんどないと思う」と述べました。