vol.15 田村 浩一郎 (株式会社イーペイメント 代表取締役)
vol.15 2010年10月7日
1980年、秋田県生まれ。1999年、ITベンチャー企業に入社。2001年、21歳という若さで友人とITベンチャー企業を設立、副社長に就任。2009年に株式会社イーペイメントを設立、現在に至る。ECビジネス業界の新たな可能性を切り拓く若きリーダー。
vol.15 2010.10.7 e-Payment,Ltd. KOICHIRO TAMURA
決済代行ビジネスを牽引する急成長企業のオフィスづくりに見る、
“クライアントの信頼獲得と社内モチベーションアップ”のメソッド
いまや日常のなにげない光景となったネットショッピング。ショッピングサイト運営に必要不可欠となる決済システムや物流システムの導入手配をワンストップで提供する株式会社イーペイメント。
2009年設立と若い企業ながら急成長を遂げ、拡大を続けるEC市場においてひときわ注目を集める中、2010年9月、業務拡大と増員に伴いさらなる飛躍のため六本木への移転を果たしました。新オフィスはITベンチャー企業らしくスタイリッシュなエントランスや、開放感あふれるワークスペースが印象的です。オフィスデザインにこめられたクライアントや社員への想い、起業時のエピソード、さらには今後の事業展開など様々なお話を田村浩一郎代表取締役にうかがいました。
EC業界の未来に新たな可能性と価値を切り拓く、株式会社イーペイメントのエントランス。 >>詳しく見る
クライアントからの“信頼獲得”を第一の目的とした応接スペース。 >>詳しく見る
新しいビジネスモデルやサービスが生み出される会議室。 >>詳しく見る
スタッフ間のコミュニケーションの広がりを重視した開放感あふれるワークスペース。 >>詳しく見る
白やベージュの落ち着いた雰囲気の中に映える赤いチェア。 >>詳しく見る
ゆとりのある休憩スペースでリラックス。 >>詳しく見る
おやつとして食べた分だけお金を払う仕組みのオフィスグリコを常備。 >>詳しく見る
<グローバルセキュリティ基準を武器にEC市場でのシェア拡大>
はじめに、御社の事業内容をお聞かせください。
田村
ECサービス事業を展開する企業や個人事業者が決済システムを導入するには、クレジットカード・電子マネー・銀行振込み・コンビニ払いなど、システムごとに書類提出や審査など煩雑な手続きが必要となります。事業者が低コストでスムーズにシステムを導入できるように決済処理業務を一括代行するのが、私たちイーペイメントのサービスです。
どのような経緯で決済代行ビジネスを手がけられたのでしょうか。
田村
もともとクオリアという会社で自社メディアを運営しており、決済や課金まわりの仕組みに興味はありました。そんな中友人の会社が決済代行サービスを始めるにあたり、コンサルタントとして一から参画させて頂き、ノウハウを蓄積した後イーペイメントを設立いたしました。
現在、同業他社も数多く存在する中で、御社の強みはどのようなところなのでしょう。
田村
取扱っている決済の種類が、クレジットカード・電子マネー・銀行振込み・コンビニ払い・代引きと国内で一番多いことです。さらに、PCIDSS(Payment Card Industry Data Security Standard)※の取得を現在進めています。決済代行会社は国内に100社以上ありますけれど、PCIDSSを取得をしている決済代行会社となるとほんのわずか数社にまでしぼられます。最近は決済に関する事故も増えています。情報セキュリティの面を考えると、今後はPCIDSSを取得した信用のおける決済代行会社にクレジット情報は任せようという流れになるはずです。その他、低価格・最速のサービス導入、無料の追加オプション、ECサイトの企画支援など弊社独自のメリットがあります。
※クレジットカード情報および取り引き情報を保護するために国際ペイメントブランド5社によって策定された、クレジット業界におけるグローバルセキュリティ基準。
ECビジネス業界の荒波を邁進する若きリーダー、田村浩一郎代表取締役。
それにしてもわずか一年半ほどでのサービス確立をはじめ、御社の成長スピードは今の時世を考えると驚異的です。やはりビジネスモデルの勝利なのでしょうか。
田村
長期的なスパンで会社の経営状況を見通せることがこのビジネスの強みです。損益分岐点を見通した事業計画を立てやすく、キャッシュフローの部分でも継続性が見込みやすい。起業時はクライアントが少なく業績が厳しい時期もありましたが、既存クライアントからの紹介で顧客数が徐々に増えて、現在では代理店を介した契約も行なっています。
とは言え、今まで本当に山あり谷ありでした。振り返れば谷のほうがずっと多かったくらいです…そしてこれからもですかね(笑)
自然体で飾らない人柄がとても魅力的でした。
<オフィスや社内環境への投資は、企業ブランドの確立と社員の意識向上が目的>
今回の移転でオフィスについてはどのようにしたいとお考えでしたか。
田村
起業当時のオフィスは、自分ひとりがその友人の会社で間借りをさせてもらっていたので、オフィスを構えているなんて言えるようなものではありませんでした。今回のオフィスデザインについてはかなり悩んで、「みんなの仕事場」も随分と参考にさせていただきました(笑)やはり弊社の場合は企業柄もありますから、オフィスデザインといっても何をプライオリティとして考えるべきなのかのバランスがとても難しく、いちばん良い落としどころを見つけるまでに時間がかかりました。
例えば、取引先には金融機関が多いので、ご来社時に決済代行会社としての信用を示すことがとても大切です。ですから、オフィスデザインに誠実さが感じられなかったり遊びすぎたりしてはダメ、逆にあまりにも堅苦しかったり企業の勢いやエネルギーを感じられなかったりするのも寂しい。今回は友人の建築会社に内装工事を依頼したので、厳しいスケジュールの中でこちらの要望をかなり聞いて協力してもらえました。とても満足しています。
移転先を六本木に選ばれたのはなぜでしょうか。
田村
他に赤坂や青山辺りも考えましたが、オフィスデザインの話と同じく六本木にオフィスを構えることが会社としての信用につながると考えました。GoogleさんやGreeさんのオフィスも六本木にありますよね。移転は1年以上前から計画していて、100件くらい物件資料を見ました。
広報担当
いや、もっとですよ。200件くらい見てます(笑)
そんなに数多く検討されたのですね。
田村
そんなに見たかな(笑)50件くらいは物件を実際に見ました。最終的にこの場所は取引先である銀行さんにご紹介をいただきました。
とくにこだわった部分はありますか。
田村
いちばんこだわったのはエントランスです。やはりエントランスは第一印象として大切です。それから、最近は応接室を設けない会社も多いようですけど、大切なお客様を丁重におもてなしするスペースはやはり必要と考えました。
斬新なグラフィックデザインの企業ロゴ。
以前のオフィスに比べて取引先やスタッフのみなさんの反応はいかがでしょうか。
田村
以前より来客頻度が増えましたし、スタッフの反応も良いです。みんな身を引き締めて頑張って仕事をしてくれているようで、そばで見ていてもメキメキと成長を感じられるのがうれしいです。投資をした甲斐があります。これから職場環境をもっと良くしていきたいですし、スタッフもオフィスに合わせて成長してほしいです。
お客様を丁重にもてなすための応接室。
独自の社内ルールや福利厚生などがあれば教えてください。
田村
≪心・技・体 リフレッシュ制度≫という制度を設けています。心や体を労りながらストレスフリーで働ける環境を作ったり、スキル向上の為の研修を行ったり、スタッフが毎日楽しく仕事できるような催しを行っています。
広報担当
あと、社内ルールとは言えないかもしれませんが、弊社へ就職を希望される方と、採用合否を決める前に一緒にお酒を飲みに行くことにしています(笑)
とてもユニークですね。みなさんご一緒に行かれるのでしょうか。
田村
基本的には社員みんなで一緒に行きます。今は社員の数も増えたのでちょっと大変ですけど(笑)まずそこでお互いの理解を深められればいいなと考えています。
広報担当
珍しい社風ですねと言われます(笑)
田村代表も他社員のみなさんと同じスペースで仕事をされています。
<EC事業の海外展開の鍵は、コンテンツの充実とインフラの整備>
今後についてはどのようなビジョンをお持ちですか。
田村
今は2年、3年先の状況を予測するのが難しい時代です。弊社がおかげさまで現在成長出来ているのも、EC市場拡大という良い状況があるからこそだと考えています。ですから、その追い風が無くなった状況でも着実にシェアを拡げることが今後の理想です。
国内シェアについては、ウェブマーケティングでの拡販に力を注ぐことを考えています。海外シェアについては、世界基準であるPCIDSSを武器にアジア圏での展開を検討しています。ECビジネスの海外展開を考えると、コンテンツや商品の充実とインフラ整備の両方が必要です。例えば日本のオンラインゲームを海外展開しようとしている企業を、ネットビジネスの仕組みを一緒に作り上げるところから支援したい。難しさはあるかもしれませんがチャレンジしていきたいです。
今後どのようなビジネス展開をされるのか目を離すことが出来ませんね。さらなる発展を期待しています。ありがとうございました。
自信に満ち溢れた眼差しの先には、どのような展望が広がっているのでしょうか。
オフィスの詳しい紹介はこちらから!
会社概要
株式会社イーペイメント
所在地/〒106-0032 東京都港区六本木4-8-6 パシフィックキャピタルプラザ7F
設立/2009年1月13日
従業員数/10名
資本金/60,000,000円
http://www.e-payment.co.jp/
サービス紹介
株式会社イーペイメントの決済代行サービス
ECサービス事業を展開する企業や個人事業者に向け、決済システムや物流システムの導入手配を一括代行するサービス。
・クレジットカード決済
・電子マネー決済
・銀行振り込み決済
・コンビニ決済
・代引き決済、物流導入
<取材を通して>
インターネットを媒体としたビジネスやサービスは、時代の流れとともに急激なスピードで多様化され、今や日常生活の様々なシーンの中に浸透しています。そのいちばん身近な例と言えるネットショッピング。欲しいものがあればお店に足を運ばなくても注文したものがすぐ手元に届けられる。けれども、私たちはその背景であるECビジネスの仕組みまで意識することはなかなかありません。
今回、ECビジネス業界において新たな可能性を切り拓こうとする若き経営者、田村代表にお話をうかがえたことは大変貴重な機会となりました。
とても誠実で驕りのないお人柄。お話からは人との縁を大切にされている様子がうかがえました。
『人と直接向き合える仕事が面白いと思っているんです。』
取材の終わりにふと話された田村代表。その柔和な表情が、“ビジネスのその先にいる人々”への誠実な想いを物語っているようでした。
(取材/執筆:運営事務局)