空き家:管理おまかせ…代行サービス、参入業者続々
毎日新聞 2014年11月13日 10時35分(最終更新 11月13日 12時13分)
親の死亡や施設への入所で実家が空き家になってしまったらどうするか。離れて暮らす家族の悩みに応えようと、掃除や換気などを代行する「空き家管理サービス」が広がりをみせている。依頼者からは「近所から苦情が来なくなった」との声が寄せられているという。【安高晋、戸上文恵】
◇室内換気やごみ掃除
「ご近所から『飛んできた屋根が当たったらどうする』『敷地からはみ出した雑草が邪魔だ』といった苦情電話が年に数回、かかってきた」。約40年前に親が購入した東京都東村山市の3階建ての家を約4年前に相続した男性(68)は振り返る。
男性は横浜市在住で、この家まで車で2時間以上の距離がある。使う予定がなく、撤去にも費用がかかるためずっと空き家にしてきた。最近は床が抜けそうになるほど老朽化が進んでいた。
昨年夏、台風で屋根が飛ばないか不安になり、NPO法人「空家・空地管理センター」(埼玉県所沢市)に屋根をロープで固定するなどの応急措置を手伝ってもらった。以来、センターが実施する月額4000円のサービスを利用している。
センターは鍵を預かり、室内の換気や庭の掃除、郵便受けにたまったチラシを捨てる作業などを代行する。作業を終えると、写真付きの報告書を依頼者にメールで送付。管理業者を書いた看板を立て、クレームにも対応する。男性は「月に1度見てもらえるだけで、かなり気が楽」と話す。
国土交通省は昨年、空き家についてアンケートを実施。全国2187人の空き家の持ち主に、所有するまでの経緯や管理の有無を聞いた。所有のきっかけは「親からの相続」が964人(44.0%)と最多だった。
日ごろの管理について尋ねると、1割超の280人が「特に管理していない」と回答。理由(複数回答可)は「遠方にあり自分で管理できない」(40.4%)が最多で、「しばらく住む予定がない」(40.0%)、「手間や費用がかかる」(29.6%)が続いた。
東京都世田谷区の女性(63)は、父(90)が高齢者施設に入居。誰も住まなくなった横浜市の家を4年前から管理する。当初は月に1度通っていたが、持病もあり足が遠のいていた。昨年、隣家から「蜂の巣に困っている」と連絡を受けたのを機に「大東建物管理」(東京都)に管理を委託した。