続々々・なぜ会社には「働かないオッサン」がいるか
2014/11/13 05:43:00


優秀な若者社員と無能なオッサン社員がいるとする。優秀な若者社員の給料は10万円で、彼がこなしている仕事は20万円相当だとする。つまり会社から見れば彼は10万円の利益を生み出している。給料というのは会社から見れば原料費と同じようにコストだからね。

無能なオッサンの給料は11万円で、このオッサンがこなしている仕事は12万円相当だとする。わずか1万円だけど一応利益を生み出している。

でもこなしている仕事が若者の20万円とオッサンの12万円なら、目に見えてレベルの違いを感じるだろう。オッサンの能力は若者の半分だ!しかも若者より給料が高い!年功序列の弊害、許せん!となる。

   *   *   *

まあ気持ちはわかるけど、その無能なオッサンをクビにすれば、代わりに有能な若者が入社してくる保証があるならいいよ。でも有能な人材というのはそう簡単には見つからない。他の会社だってそういう人材はほしいわけで。

だから下手をすると新たに採用した人材がもっと無能な可能性だってある。坊主めくりみたいに「あたり」の人材が出てくるまで、どんどん採用してはクビにするを繰り返せばいいんですかね…。なんかブラック会社だと悪評が立ちそうなんですけど(苦笑)。クビにされた社員はもちろんだけど、残った社員だって心中穏やかではないだろう。

じゃあせめてオッサンの給料を9万円ぐらいに下げろというかもしれない。でもその結果「こんな安い給料じゃ働けねー」とやめちゃったら、クビにしたのと結果は同じだよね。いずれにしろ新たな人材を探さなければならない。

   *   *   *

先が見えたオッサンよりも若者の未知の可能性を重視すべきではないか?若者なら給料も安くてすむ。これは一理あるのだけど、すでに仕事を習得してる無能なオッサンと、これから仕事を教えなければならない未知数の若者のどっちが期待値として高いかは微妙だよね。

若者は仕事を教えなければならない。つまり初期の教育コストがかかる。やがて能力を開花させて投資した教育コストを上回る利益を会社にもたらしてくれるならいいけど、コストかけた結果、無能な若者にしかならなかったという可能性もある。

それなら現状でそれなりに仕事をこなしているオッサンの方がトータルで低コストになる

   *   *   *

もちろんずっとそんなことやってたら、社員が高齢化する一方だから若者も採用しなければならない。現に大抵の企業は定期的に若者を採用しているはず。

優秀な(可能性のある)若者がいれば、それで採用されるはずで、無能なオッサンをクビにすればその分、優秀な若者が採用できる可能性が高くなるわけではない(笑)。

ようするにわずか1万円分の利益しか生み出してなくても、クビにするコスト的な理由はないわけだ。会社の業績が不振で全体の仕事が減り、無能なオッサンに12万円分の仕事すら割り当てられなくなったなら、たとえば9万円分しかなくなったら、12万円の給料を払ってたら赤字だから、リストラするしかないだろうけどね。

給料と生み出している価値の収支がプラスか最低でもゼロなら、リストラする強い理由はない。

   *   *   *

もちろん無能なオッサンが高い給料をもらっていると若い社員のモチベーションが下がるというのはあるかもしれない。でもそう言ってられるのはリストラの心配がない状態だからであって、実際にそうなると、若者社員は喜ぶよりも不安になるんじゃないんですかね…。この会社大丈夫なのか?と。

よく無能なオッサンをクビにすれば、そのオッサンの分の給料(11万円)を残った社員で分割してもらえるはずとか思い描いている人がいるけど、それは違うと思うよ。そのオッサンは12万円分の仕事をこなしてるんだから、オッサンをクビにしたらその分の仕事を誰がやるか?ということになる。

誰もやらず会社がこなす仕事を12万円分減らしたら、会社の利益が1万円分減っちゃう。代わりの人間を入れた場合、前述のようにその人が優秀ならいいけど、そうでない可能性もある。

人を増やさず残った社員で手分けしてこなすという選択もあるけど、無能な人がやってた仕事とはいえ、実際にやろうとするとそう簡単に片手間にできるもんじゃない。


関連記事:
続々・なぜ会社には「働かないオッサン」がいるか

ページサマリー
November 2014
      1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
30
Powered by asks.jp