遠藤、「魔球FK」も「背番7」も不変
7番が魔球を操る。日本代表に復帰したMF遠藤保仁(34=G大阪)の背中に7番が戻ってきた。12日に日本協会が発表し、代表でなじみの番号に決まった。ホンジュラス戦(14日、豊田ス)での先発が濃厚で、愛知県内での全体練習後には直接FKを居残りで特訓。日本にとっても自身にとっても、13年9月以来1年3カ月なかった直接FK弾を、縦回転と横回転の2つの宝刀で狙う。
クールダウンの輪から抜け出した遠藤がまっすぐ、ゴールへ向かった。モラス・フィジカルコーチらスタッフ3人を壁にし、次々と直接FKを放ち居残り特訓を開始。1本目のキックが羽生通訳の顔面に入ったが、そこからが遠藤の真骨頂。修正された軌道は、壁を越えた瞬間、縦にグンッと落ちる「魔球」となってネットを揺らした。横回転のシュートも織り交ぜながら11本のシュートでゴールは4本。ポストとバーの枠には3度直撃する精度だったが、遠藤は納得しなかった。
「全然ダメですね。ま、日によって違うから、毎日練習すればいい。キッカーの立場では、精度の高いキックをすること。枠にいけば何かが起こる可能性あるけど、代表のGKは守備範囲が広い。かなりの精度が必要。状況を見ながら(居残り練習を)やっていきたい」
わずか11本。しかし確かめた感覚は緻密で、細部にわたる。会場の豊田スタジアムのピッチ状況は、本拠地の万博とも変わってくる。「スタジアムによって芝生の長さもピッチの状況も違う。だからそこに合わせながらやりたい。このままいくのならちょっと長め。縦回転と横回転どちらも蹴られる準備をしている」。位置、角度、壁の状況に対応し、宝刀を抜く。
日本代表としては13年9月6日グアテマラ戦で自身が決めて以来、1年以上も直接FK弾はない。FKからの得点力不足は、6月のW杯ブラジル大会でも苦しんだ要因の1つだった。02年11月に代表デビューしてから代表13年目となるベテランの背番号はなじみの7が戻ってきた。「協会とアディダスが決めているから何番でもよかったんですけどね」と特別な感情は出さない。そんなスタンスを保ちながら、ここ一番の場面で、冷静にそして正確に、ゴールを射止める。【栗田成芳】
[2014年11月13日7時37分 紙面から]
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