新しい楽器を作り、新しい音楽の演奏に挑戦するハッカソン Play-a-thon のリポートをお届けます。全4日間の日程のうち前半にあたる11月6日〜7日の2日間、静岡県浜松市と掛川市で1泊2日の合宿を実施しました。
まずはDay1に実施したヤマハの工場見学と、Play-a-thonで利用できるヤマハの提供技術についてお伝えします。量産が難しい楽器の多数生産を実現した現場と、電子楽器や音楽関連技術からどんな新楽器と音楽が作られるのでしょうか。
静岡県浜松市のヤマハ豊岡工場管楽器製造現場とギター生産工場を見学しながら、音楽とは何か、楽器とは何かを考えながら過ごした参加者の濃密な時間はどのように過ぎたのか、当日の様子は続きをどうぞ。
新しい楽器を作るPlay-a-thonとは?
Play-a-thon はIAMAS(情報科学芸術大学院大学)、ロフトワークと一緒に新しい演奏体験を作り出す一種のハッカソン。「楽器」「音楽インターフェイス」をデザインし、そして生み出すことをテーマに、ヤマハの強力アシストで実現しました。
日程は静岡と東京をまたいで4日間(11月6日、7日、21日、24日)。参加者は現地にてチームに分かれ、それぞれのチームごとにアイデアを出し、プロトタイプを制作。完成度を高めて、最終日の11月24日にはEngadget主催のガジェット文化祭 Engadget Fes 秋葉原 2014 Winter で発表します。
Day1のスケジュールは、まずヤマハ豊岡工場(金管楽器製造現場)とギター製造現場を見学。意匠を凝らした楽器がどのように生産されるのかを体験します。その後ホテルに移動し、懇親会を兼ねた夕食を取りながらPlay-a-thonのアイデア着想などに使えるヤマハの電子音楽技術などのレクチャーをする流れ。
この時点で22時を回る長丁場ですが、一息ついたら有志の部屋でDay1中に思いついたアイデアを共有したり、持ち込んだ楽器でセッションする人など音楽に没頭する1日を過ごしました。
ヤマハの国内最大級工場で金管楽器とギター製造現場を見学
静岡県浜松市にあるヤマハ豊岡工場は、国内向けでは最大級のヤマハ楽器製造現場。ヤマハが製造販売する楽器のショールームと、一般見学が可能な金管楽器製造現場を中心に工場内を約1時間ほど巡ります。
見学前に、担当者から金管楽器の製造工程と工場見学における注意点を説明。どのように楽器が作られているのか、工場でおこなわれている作業工程の概要が分かります。
いよいよ工場見学がスタート。残念ながら工場内の写真撮影は禁止のためこちらで詳しくご紹介することはできませんが、ツアーを通じて豊岡工場の広い敷地内に点在する建物を3つ巡りました。トランペット、トロンボーン、フルートなどの金管楽器製造は多くの工程に手作業が入り、一部機械化してはいるものの最後は人の手を使うものであることがとてもよく分かります。
ヤマハの工場では生産関連職にヤマハ吹奏楽団の活動メンバーも在籍しています。製造工程の最終チェックではメンバーが実際に音を鳴らすパフォーマンスもあり、迫力のある音色とそのテクニックも楽しめました。
豊岡工場の見学に続いて、バスで15分ほどのギター生産工場に移動します。こちらの工場はヤマハ国内拠点の中でも長年にわたり稼働を続けている現場です。アコースティックギター、バイオリン、チェロなどの弦楽器のほかに木琴、鉄琴、ティンパニーなどの打楽器の製造もおこなっています。
こちらでもまず製造工程の概要と工場見学の概要を担当者がレクチャー。その後実際に工場へ足を運びます。金管楽器と違い、木製の楽器は気象条件や材料のバラ付きで均一な品質を保つことがとても難しく、さらに細かな手作業が必要な工程が目の前に広がりました。
Play-a-thonで作る新しい楽器は、開発ボードkonashiなどを使用した電子楽器。ですが、今回は昔から変わることなく続いているアナログ楽器とその製造現場を見学し、楽器とは何かを改めて考える刺激を受けることができました。
新しい楽器のヒントは手に入ったのか? 楽器とは、音楽とは何かを考え抜く一夜
2つの工場見学が終わり、掛川市のヤマハリゾートつま恋へ移動。懇親会と夕食が終わったところで、新しい楽器を作るためのアイデアや技術のヒントをヤマハの担当者からレクチャーします。
新しいコンセプトの楽器はどのようなものになるのか具体例を紹介。こちらはヤマハで研究開発している電子楽器のプロトタイプ、LEDボタンを押して音楽を奏でる「TENORI-ON(テノリオン)」、音を身体の動きによりコントロールし音楽やリズムを奏でる「MIBURI(ミブリ)」です。
続いてPlay-a-thonで活用できる各種技術を紹介していきます。通常では2音以上の音が混じっている楽曲からそれぞれの音に分離する「音源分離」、インターネットを通じて遠隔セッションを実現する「NETDUETTO」。活用すると思い通りの音を遠隔セッションで使うことが可能になります。
MIDI音源ボード「eVI1 Shield」と「VOCALOOP」は、初音ミクで有名なヤマハ開発の歌声合成技術VOCALOIDを活用するガジェット。eVl1 Shieldは歌う音源eVocaloid、GM音源などの音源が入っている高性能シンセサイザエンジン。VOCALOOPは日本語の言葉とメロディを打ち込んで再生するループシーケンサー・ガジェットです。
また、サンプルの楽曲からビートだけを抽出して展開できる「ビート・コード認識技術」と、楽曲のボリュームを思い通りにできる「自動ボリューム調整技術」、短い似た音を検索する「sonote」、1人で4人分の演奏を実現する「Ensemble技術」、自動で演奏をミックスする「AutoMixing」も紹介。
活用すると音源として使用するだけでなく、言葉や音を自在にコントロールして新しい「音」を作り、演奏できます。
アイデアの素やレクチャー内容を整理してDay2に挑む
13時から23時まで続いた濃密なスケジュールで、楽器と音楽について多くの刺激を受けたDay1が終わりました。Day2ではグループに分かれてアイデアとモックアップ作成をおこないます。
日常生活常に聞こえている音を奏でる道具、楽器をどう解釈するのか。限られた時間の中でアイデアを出し、どのような音が出るモックアップが誕生するのでしょうか。翌日のレポートにご期待ください。
11月24日、アーツ千代田 3331で会いましょう
Engadget Fesの会場はアーツ千代田 3331です(秋葉原の中央通りを北に進んで銀座線末広町駅からすぐ)。- 日時:11月24日12時~(受け付けは11時30分〜)
- 参加費:8000円(
早割3000円、前売り6000円)、小学生以下無料 - 会場:アーツ千代田 3331(東京都千代田区外神田6-11-4)
- イベント協力:Peatix、WAG Inc.
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