【九州場所】豪栄道、先場所完敗の逸ノ城に完勝返し!
◆大相撲九州場所4日目 ○豪栄道(寄り切り)逸ノ城●(12日・福岡国際センター)
西大関・豪栄道が、新関脇の逸ノ城に雪辱を果たした。先場所に完敗したモンゴルの新怪物を万全の寄り切りで下した。連勝で星を五分に戻し、ここから巻き返しを図る。休場明けの東横綱・日馬富士は、東前頭筆頭・栃煌山に敗れて2日連続の金星配給。白鵬、鶴竜の残る2横綱は安泰だった。東大関・琴奨菊は早くも2敗目。全勝は2横綱に西大関・稀勢の里、平幕の隠岐の海、旭天鵬を加えた5人となった。
何もさせなかった。立ち合い。豪栄道は右手を出して、逸ノ城の張り手と左上手を封じた。次の瞬間、頭をつけて右を深く差した。相手が小手に振ってきたところに乗じて前に出ると、左前まわしをつかんで一気に寄り切った。勢いで199キロの巨体は土俵下に落ちた。わずか3秒7の完勝劇。「初顔合わせから連敗したらなめられる。良かった」とうなずいた。
今場所は絶対に負けるわけにはいかなかった。逸ノ城が新入幕だった先場所、豪栄道は新大関として怪物を迎え撃った。だが、結果は残酷だった。土俵に尻からたたきつけられ、完膚なきまでに敗れた。「本当に情けない負け方をした。悔しかった」。大関のプライドは激しく傷つけられた。
雪辱を期して、屈辱の取組を映像で何度も分析した。豪栄道は身長183センチ、体重156キロ。幕内の平均身長185・4センチ、体重160・2キロに比べれば決して大きくはない。しかし、先場所は自身より40キロ以上も重い怪物を相手に左上手を深く取り、胸を合わせに行った。「今場所は(左前まわしは)絶対に浅いところを取ろうと考えていた」。この日の朝稽古でもその動作を繰り返し、取組でも狙い通りの取り口を見せた。「(連敗できない気持ちは)本当にあった」。完勝で先場所の屈辱を晴らした。
北の湖理事長は「仕切りの時から顔つきが違っていた。負けられない気持ちになっていた。この相撲を続けていかなくてはいけない」と分析。豪栄道は帰り道に押し寄せる大勢の報道陣を見て、「何か平幕が横綱を倒した時みたいやん」と笑わせた。連敗発進だったが、これで星は五分に戻した。「相撲が良かったので、気分良く明日を迎えたい」。ここから逆襲を狙う。(三須 慶太)