欧州探査機すい星に着陸 世界初11月13日 4時12分
ヨーロッパの宇宙機関が10年前に打ち上げた無人の探査機が「ほうき星」とも呼ばれるすい星への着陸に世界で初めて成功し、太陽系の起源などを解明する有力な手がかりになることが期待されています。
ESA=ヨーロッパ宇宙機関が2004年に打ち上げた、無人のすい星探査機「ロゼッタ」は、宇宙空間を10年あまりかけて66億キロ飛行し、現在、目標としていた直径が最大でおよそ4キロの「チュリュモフ・ゲラシメンコすい星」と同じ軌道を飛行しています。
12日、すい星の表面で直接、詳しい探査を行うため、探査機「ロゼッタ」から、高画質のカメラや高性能の測定器を搭載した小型の探査機「フィラエ」が放たれました。
小型探査機は、すい星からおよそ20キロの地点からおよそ7時間をかけてゆっくりと降下し、日本時間の13日午前1時すぎ、すい星の表面に着陸したことが確認されました。
探査機がすい星の表面に着陸するのは世界で初めてで、ドイツ中部ダルムシュタットにあるESAの運用センターに着陸成功の第一報が入ると、集まった関係者やジャーナリストから大きな歓声が上がっていました。
このすい星には、太陽系が誕生した46億年前の物質が残っていると考えられていて、表面の物質を詳しく分析できれば、すい星の成り立ちのほか、太陽系の起源、さらに地球上の水や生命の始まりを解明するうえで有力な手がかりになると見られています。
パリの市民は
ESA=ヨーロッパ宇宙機関の本部があるフランスの首都パリでは、科学教育のための公共施設で、ダルムシュタットの運用センターなどと結んで着陸のもようを市民に公開するイベントが開かれました。
そして大きなスクリーンに着陸成功を祝う管制官の様子が映し出されると、集まった多くの市民から大きな拍手とともに歓声が上がっていました。
お年寄りの女性は「すばらしいことです。1969年7月に人類が初めて月面に着陸したとき以来の感動です」と話していました。
また若い男性は「今回の成功で多くの疑問に答えが出ることはまちがいありません」と興奮を隠しきれない様子で話していました。
イベントにはフランスのオランド大統領も出席し、「ヨーロッパの勝利であり、科学の進歩や人類の勝利だ。宇宙の探求に向けた大きな一歩になった」と評価していました。