記事詳細
【米中首脳会談】
国交35年、変わる大国関係…協調演出も利害は錯綜
溝深い人権問題
米中の対立が最も鮮明に示されたのが、香港で続く民主化デモをめぐる応酬だ。会見で習氏は、中国の人権状況で「巨大な成果が出ている」と米国の批判を突っぱねたのに続き、香港での道路占拠を「違法行為であり、香港政府が法に沿って処置し、社会の安定を守ることを支持する」と言明した。
これには、オバマ氏も反論し、「米国がデモをあおっている」との中国側で根強い疑惑について、「何ら関与していない」と一蹴。さらに、香港での選挙改革は民意を反映したものであるべきだとして、「市民が見解を表明する権利について、われわれは表明を続ける」と語った。
内憂引きずる米
今回の会談は、米国経済が回復基調に入った半面、オバマ政権与党の民主党が中間選挙で大敗した直後という複雑な米国情勢を背景に行われた。
対する中国は、習氏が汚職摘発を武器に強権を掌握。中国経済の下降傾向が見えているものの、巨額の外貨準備高など豊富な資金と軍事力を武器になお強気の構えを崩していない。
香港のデモに関しては「大統領は香港での民主主義の価値を表明すべきだ」(米ブルッキングス研究所北東アジア研究所のリチャード・ブッシュ所長)など、党派を問わず米国内で関心が高まっていた。