東芝の半導体メモリーを巡るデータ漏洩事件で、同社が流出先の韓国半導体大手、ハイニックス半導体(現・SKハイニックス)と元技術者、杉田吉隆被告(53)=不正競争防止法違反罪で起訴=に約1千億円の損害賠償などを求めた訴訟の第1回口頭弁論が12日、東京地裁(東海林保裁判長)であった。ハイニックスと杉田被告側は請求棄却を求め、争う姿勢を示した。
訴状によると、流出したのはスマートフォンなどに使われる東芝の主力製品「NAND型フラッシュメモリー」の研究データ。東芝側は「データは営業秘密に当たる」としたうえで「ハイニックスは不正入手を知りながらデータを利用して製品を製造販売し、約1091億円の損害を与えた」と主張した。入手したデータの破棄なども求めた。
ハイニックス側は「何が営業秘密かが具体的に特定されていない」などと反論。同社の代理人は口頭弁論の終了後、「会社の考えは裁判を通じて主張していく」とコメントを出した。
東芝の提携先の技術者だった杉田被告は、データを持ち出して転職先のハイニックスに渡したとして今年4月に起訴された。公判はまだ始まっていない。
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